甘すぎると言われるけれど、そのままで良いらしい。
母から朝日新聞(2022年2月5日朝刊)の切り抜きを紹介された。
60代男性が「5歳の孫がいるのだが、孫に甘いと言われている」という悩みを「悩みのるつぼ」というコーナーに投稿。美輪明宏さんが回答した。
美輪さんは「そのままでいいのでは?」と告げる。
「甘やかしすぎてどこまでのワガママな子にならないように導いてあげてください」と注意を促しつつ、「大前提として愛情はいくら注いでもいいんです」という。
朝日新聞の読者には、僕の両親のように孫がいる世代も増えているのだろう。美輪さんの言葉で、溜飲を下げた方も多いのではないだろうか。
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子どもは厳しく育てた方がいい
VS
愛情深く育てるべきだ
という論争は古くからあり、双方が交わる気配はない。
両者の主張をそれぞれ支えるエビデンスも出てきており、どちらを選ぶべきか簡単に結論づけることも困難だ。
結局のところ、親の人間性や育ってきた環境次第で、どちらの態度をとるかは決まってしまうようにも思う。
周囲の環境が厳しいと、子どもが萎縮してしまうというのは頷ける。美輪さんは以下のように相談者を諭す。
余裕は大事だ。
余裕がないと、人に優しくすることはできない。(優しくするよりも、叱る方が100倍楽なのだ)
「甘すぎる」とはいうけれど、「甘すぎる」態度を示せるというのは、立派な能力であると美輪さんは示唆している。逆に「甘すぎる」態度を示せないというのは、愛情を注ぐということに欠けていると言えるのかもしれない。
育児をする上で、ちょっとした気付きだし、自らを顧みる機会になった。
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論旨には関係ないのだが、美輪さんは「お手紙を何度読み返しても、いいおじいさまだと思います。世の中には実の子や孫にも冷たい人だって多いんですから。娘さんにも、お手本を示せばいいんです」と相談者に寄り添っていた。
僕も相談者の投稿を読み、全く同じ気持ちになった。
孫のことを思い、娘への配慮も感じられる。こういう「おじいちゃん」がいたら、さぞ幸せだろうと思うけれど、当事者はまた別の見解を持ってしまうのだろうか。(たしかに「こっそりと一緒に甘い物のつまみ食いをさせたりします」というのは、親としては困ってしまいますね)
いずれにせよ、文章って、人格を表すなあと。
いくら文章が上手くなっても、人間が変わらなければどうしようもない。つい息子の言動にイライラすることもあるけれど、この「おじいちゃん」のように、たっぷりと愛情を注げるように意識していこうと思います。