セイタロウデザインが見据える、「先人達を超える」ということ。
セイタロウデザインの代表、山崎晴太郎さんの個展に足を運んだ。
個人的な所感だが、最近、建築やデザインといった領域が「体制」側へとシフトしつつあるように思える。
例えば、東京五輪や大阪万博のようなパブリックなイベント。
必ずしも私は官が主導する大規模イベントに反対ではない。しかし市民から寄せられる批判(心配事)に対して、「それは大丈夫」「困難を乗り越えよう」「多様性が〜〜」といったお題目だけで応えるのは、あまりに不誠実だ。実際、東京五輪も大阪万博も、当初想定していた予算を大幅に超えている。安全面のリスクも含め、市民が納得できるよう対話の機会を設けてほしい。
話は変わるが、1953年に上映された「ひろしま」という映画がある。広島と長崎に原子爆弾が落とされ、それからわずか8年後に上映された作品だ。作中では、壊滅的な被害が出てなお、戦争を継続させようとする軍部の姿が映されている。先に挙げた大規模イベントと戦中の軍部体制を同じだと断言するつもりはないが、既視感を抱くのもまた事実である。
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という中で、山崎晴太郎さんのデザインに触れた。
良かったのは、デザインを通じた物事への向き合い方に際して、「ああ、こういうアプローチもあるんだな」という新しい発見を提示していたことだ。
ただ洗練された美しいデザインというだけではない。どこかチャーミングで、余白と遊び心を伴うようなアイデアや企画。
それぞれの作品には、詩のようなテキストが添えられている。
地味なことも厭わず、一つひとつ真摯に実績を積み上げてきたセイタロウデザインのステートメントのようにも思えた。
個展は、表参道の「スパイラル SPIRAL」で9月1日(日)まで。
デザインを実際に体験する形の展示もあり、お子さんと伴って行くのも楽しいと思います。
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