Clubhouse招待枠ロンダリング
2021年の初めに隆盛を誇ったClubhouse。
ピーク時からは落ち着いてしまったが、音声だけで成立したメディアとして、間違いなく新しい可能性を拓いたと思っている。
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幸運なことに、僕は知り合いから招待枠を譲ってもらった。
当時の招待枠は「2つ」しかなかった。僕に譲るこメリットは何もないはずだったのに。だがそのおかげで、Clubhouse初期で交わされていたコミュニケーションの萌芽を目撃できた。
しかし当時問題になったのが、異常なほどにインフレーションした招待枠の争奪戦だった。タッチの差ほどしかないネットワーキングの違いによって、招待されないことの焦燥感が、人々の招待枠への渇望に繋がっていた。
そこで生まれたのが、招待枠を「有料で販売する」という行為だった。
誰かがTwitterで「招待枠を有料で譲ります」とつぶやくと、たくさんのリプライが飛ぶ。本来無料で手に入るものが、入手できるタイミングの違いによって「お金を払っても良い」と感じさせていたのだ。
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ここからは僕の話だ。
そういった状況を正確に把握できず、ただただClubhouseの熱狂にのめり込んでいたときのこと。突如、僕に付与された招待枠の数が増えたのだ。
こんな風にツイートしたところ、何通かDMが届いた。もちろん、招待枠を譲ってくれないか?という要望だ。
迂闊にツイートしてしまったことを悔やみつつ、全く名前も知らない人たちに対して、どんな風に接するべきか悩んだ。悩んだ結果、その3枠を全て使って招待することにしたのだ。
止せば良いのに、彼らの動向を追ってみた。すると、その内1名が、別のTwitterアカウントを使って招待枠を2,000円で販売していた。メルカリを通じて決済や引き渡しを行なっていたのだ。
心が痛んだ。
間接的に、グレーなビジネスに加担したような気持ちになったからだ。
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だけど……、と僕は思う。
僕はたまたま東京に住み、30代で、仕事柄それなりの交友関係を持っている。
だがそうでない人生を歩んでいたとしたら。交友範囲が限られていて、周囲にClubhouseなど新しいサービスに対して頓着がなかったとしたら。何とかTwitterを駆使して招待枠を入手しようと躍起になっていただろう。
Clubhouseの招待枠を使ったロンダリングで、少額の金銭を獲得しようとした人たち。お金に困っていたのかもしれないし、どうしても欲しいものがあったのかもしれない。気楽なマネーゲームに興じていただけかもしれない。その事情は分からないが、立場が違えば、僕も同じようなことをしていた可能性だってあるのだ。
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こうした経験が、僕の胸に未だ刺さっていて。
射幸心を煽るような仕組みは、人々の心を惑わせ、余計な混乱を招いてしまう。それが正しいことなのか。
色々なことを考えながら、未来のあり方についても議論していけたらと思うのだ。
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