真ん中の岸田文雄さんに望むこと。
岸田文雄さんが自民党総裁に選出された。
近々臨時国会が開かれ、そして100代目の内閣総理大臣に任命されるのだろう。2020年、約1年前に菅さんが自民党総裁に選出されたときに、次点で敗れ、それ以来冷や飯を食わされてきた。忸怩たる思いがあっただろうが、1年間、政治を冷静に見つめてきた人ではないかと思う。
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5日前のnoteで書いた通り、今回の自民党総裁選は、4名それぞれ違う政治家タイプの人たちが論争を繰り広げた。
最終的には派閥内での調整が行なわれたといった見解もある。そういった政局は抜きにして、個人的には、何が世の中を強く分断しているのかを目にして大変興味深く、そして危機感を覚えた2週間だった。
発信力があろうと、弁舌が立とうと、新自由主義者である河野さんを支持することはできないし、国外の情勢をことさら煽って防衛費を10兆円に引き上げようとする高市さんを歓迎することはできなかった。
なので僕の立場では、リベラル志向で、真っ先に多様性を謳った野田さんを支持するしかなかった。
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そして、最終的に選ばれたのは岸田さんだった。
この図にある通り、岸田さんは「真ん中の人」だ。
バランス感覚がある、というよりは、立場を明確にせず政局に流される傾向があるということ。良くも悪くも、立場がハッキリしている河野さんや高市さんに比べて頼りがいがない。
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選出後の挨拶の中で、岸田さんはこんなことを言った。
「岸田文雄の特技は、人の話をしっかり聞くということ」
「(他候補者や支持した方々など)皆さんのおかげで、大変有意義な政策論争をすることができました」
政策論争が有意義だというのであれば、安倍さんや菅さんがこれまで行なってきたような政府(内閣)主導による「決め方」は止めていただきたい。野党も含めて、利害関係に囚われずに政策論争を繰り広げることこそ、日本が目指すべき民主主義の姿だ。(野党が臨時国会招集を求めているのに拒否し続けてきたのは明らかな憲法違反であり、そういったプロセスが誤りだったと総括してほしい)
僕は、8月下旬に、岸田さんの立候補に関する言動に共感することができた。
「私は、今からひと月ほど前、8月の26日に総裁選挙に立候補を表明いたしました。多くの国民の皆さんが、政治に国民の声が届かない、政治が信じられない、そうした切実な声を上げておられました。私は今や、わが国の民主主義の危機にある、こうした強い危機感を感じ、わが身を省みず、誰よりも早く、この総裁選挙に立候補を表明させていただきました」
新総裁が誕生したからといって「自民党が生まれ変わる」という言葉を鵜呑みするほど、僕は素直になれはしない。ここからが勝負だろう。
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僕が望むのは3つです。
国民の声や、メディアの批判を、「それはフェイクニュースだ」なんて突っぱねることなく受け止めることを望みます。
常に説明責任を果たすことを望みます。
マジョリティだけでなく、マイノリティにも配慮しながら、多様性を認め合う社会を作ってもらうことを望みます。
真ん中のあなたが、どちらの方向に足を踏み出すのか。
正直、あまり期待はしていません。ですが極端に失望もしていません。
日本国民として、いち有権者として。
健全な批判精神を持ちながら、あなたの一挙手一投足を注目しています。