資金調達サポート2020年まとめ
Tsukuba Place Labやup Tsukuba創設の際にはクラウドファンディングを実施し、その他本当に様々なプロジェクトを推進するにあたってクラウドファンディング(以下「CF」)を実施してきました。2020年は7年ぶり(!?)に自分でCF実施こそしなかったものの、COVID-19の影響も大きく、相談や企画/運用支援が過去最高に多い1年でした。
それにあわせて、と言うわけではなく。2019年から1年半かけて準備し構築してきたREADYFOR「パートナー制度」を春先にローンチしました。
また時を同じくして個人的にいちばんお世話になってきたCAMPFIREともパートナー契約を結び、kickstarter Japanともイベントをご一緒したり、2019年から拝命している寄付月間茨城県アンバサダーの活動を絡めながら認定NPO/スタートアップ/大企業それぞれにおける資金調達について知るイベントを開催したり…とあらゆる資金調達プラットフォームと協業する1年でした。そんな中にあって改めて強く感じたことは、なめらかな新しい資金調達の手段としてのCFは2020年でまた1つ次のステージに進んだなということです。真に市民権を得た、と言っても過言ではないかもしれない。
資金調達の災厄アップデート
これらについては4月からLabのイベントをオンライン化させる中で毎週木曜日に配信してきたトークイベント”with/afterコロナ対談”における『第11夜 これからの地方創生』のゲスト大西さんと語ったところでもあります。”災厄アップデート”の光の側面。そのひとつに、確実にCFは入っていると思います。
コロナ禍では、世界中で、あらゆる職種で、どんな状況であっても、影響を受けました。経済が冷えると言うことを真に体感しました。その中で、”徳を積んでいた人”が信用をキャッシュに変える仕組みの一つとして、CFを大きく利活用すると共に、そこに行政が大きく食い込んだこともまた特筆すべき点だったように思います。
僕が住まい活動拠点にしているつくば市でも「つくば市事業者応援チケット委員会」が組織され、飲食店、生活関連、筑波山観光地、旅客運送、文化芸術と計5本ものCFが実施され総額1億6,390万円を集めるに至りました。
これまでも行政主導のCFはありましたが、あらゆる人がCOVID-19の影響を受けた2020年にあってふるさと納税やGCF以外に飲食店や観光地救済の取り組みとして顕在化した。CFと言う資金調達手段は1つの型として広く広まった感があります。
2019年までの僕は、個人のライフワーク的な立ち位置で、あらゆる挑戦を応援するための取り組みとして、CFサポートを実施していました。しかし、資金調達の必要性がより高まり、かつその手段もより市民権を得た2020年は、必要性とともに緊急性のあるプロジェクトとして、チーム体制でサポートにあたることが多くありました。去年も12/31に1年の支援したプロジェクトについてまとめました。
今年は少し毛色が違うなと思いつつも、まずはまとめてみて、そこから感じたことまで整理し、個人ではなく、チームとして、会社として取り組んできたことまでまとめてみたいと思います。※誰のためではなく自分のまとめであることをここに申し添えておきます。
【2020年】Tsukuba Place Lab / up Tsukubaから生まれたプロジェクト数19、合計総支援総額 38,537,400円、総支援者数2,356人。
READYFORでサポートしたプロジェクトについては全てこちらにまとまっているのでぜひご参考にしていただければと思います。それぞれについて感じたこととポイントをメモとして残します。
あらゆる挑戦は等しく尊い、誰かの一歩を応援できる仕組みの1つとしてCFは認知されているんだなと改めて感じた2020年最初に無事達成して終了した起案。事業ではないプロジェクトの実施推進力を上げる副作用もあるなと。
ターゲット選定と実行力の大切さを痛感。行動量と認知度は必ずしもイコールではない。認知させるにたる行動をしっかりと規定し、実行し切ることが何よりも大切。
覚悟と期待感を最高に高めたプロジェクトだった。原体験をしっかりと見定めることは事業にも大きく寄与するとともに、事業計画の精度を高めながらPDCAを回す1つのきっかけとしてのCFの価値の高さたるや。
県民投票の是非を問う際にももちろん、いやむしろ、多大な資金が必要。原発の再稼働がテーマであると言うことで表現が過剰にならないように、また広報展開の手法についても最新の注意を払うことが求めらる。
スタートアップの資金調達CFにおける好事例。個人的には事業成長において3回ポイントがあると考えていた。創業期、PMF、第二創業期。このCFはもっとプリミティブにビジョンを押し出すと言うビジネスでありながらもっとプロジェクトベースな見せ方で押し切った。純粋に胆力がすごいと思う。
既にファンを有していること、そして普段から多くの人と接する場合の展開の仕方について新たな気づきもあった。緻密な計画はもちろん重要だが、日々のコミュニケーション、信用の積み重ねこそ大切。
”たまたま”コロナ禍での公開となっただけで、高齢者支援の現場においてはもっと前からオンライン対応へのサポートが求められていることを知った。そして時勢を捕まえたときの強さを真に体感した。
COVID-19において本当に躍進したスタートアップの代表格だと思う。パブリックリレーションズの重要性とタイミングをよくよく考えるきっかけをくれたプロジェクト。
経済性ロジックと起業家ビジョナリーを併せ持つプロジェクトオーナーに魅せられた。コロナ禍においてもブレることのない、強い芯のある人こそ強いし惹かれるんだなと言うことを再確認。
雇用を守るために、事業を守るために、先頭を切って走る経営者のもとにこそ人が集まり支援が集まる。当然のことを当然のようにやり切ることこそ難しく称賛に値する。
熱量ある実施主体こそが重要であり、また主体に合わせた媒体や手法を徹底することが重要。2020年でいちばん考えさせられたプロジェクトだった。主体性と責任の所在。そして行動力と外野の使い方/使われ方。強いチームは高い成果を上げることができるはず。
時勢と対象の選定が重要であることを再確認。モノを売る際には当然のように考えることかもしれないが、サービスに転嫁させて考えても、同様であることを学んだ機会になった。
継続こそ力なり。しかし、やったことは残さないとカタチにならない。と言うことを感じた。今回こうして節目ではないものの、淡々と眈々と続けてきたことをCFでしっかりとカタチにすることは節目足り得ると再認識。
コロナ禍における事業体の変更にあっても、やはり前向きな挑戦こそを応援したいと言う個人的な思いと、実際の支援者からの反応とを見るに、しっかりとビジョンとポジションを定めた発信こそが重要なんだと再確認。
続けてきたこと/続けたいことも、続けられない状況にあって。それでもカタチを変えてでもチャレンジする尊さ。そして新たな挑戦を始める際にCFを実施することにより詳細の議論決定がなされると言うプロセスも垣間見ることができた。プロジェクトベースの資金調達におけるCFの1つのカタチだと思う。
ファンを持っていると言うこと、そして最初の1人をしっかりと握っていると言うことの重要性。特に飲食店は厳しい状況が続くが、それでもECやテイクアウトへの挑戦を早く始めたところは強かった。
前向きな、ひたむきな挑戦をみんなは純粋に応援したいんだ、と言う原点回帰させていただけたプロジェクト。ハウツーではなく、在り方で訴える力こそが本当の強さ。テクニックをつけることでさらにハマるモノがあることもまた気づけたこと。
COVID-19の影響で途中で取りやめになってしまったものの、きっとまた社会が落ち着いたら仕切り直しするであろうプロジェクト(ぜひみなさまその際には再度ご覧くださいませ!)真に社会と接続すると言うこと、地域のことに外の人が関わると言うこと、”地方創生”のお手本を見せられているかのような。本当に素晴らしい取り組み。専門性を高めたい、そして還元する先を常に探し与えることで見つかるのだろうと思った。
他にもあげればキリがないが起案からサポートしたものは上記がメイン。
メモ書きは内容そのものではなく、個人的な思ったことであり学ばせていただいたことであって、実行者との議論や関係者へのフィードバックではないことを再度ここに記しておきます。
去年はここまで、洗った上で考えたことは「じゃあそんなCFを真に活かすためにどうしたらいいのか?」「そのために堀下は何をやっているのか?」「そこから得られることは何か?」あたりを考えまとめていたようだ。しかし、今年はCFのまとめであって、もう少し広範な資金調達、そして事業計画への展開について考えた。これはまとめ記事としての進化ではなく、2019年に考えていたCFへの思いからの変化であり、個ではなくチームで仕事をするようになった環境の変化でもあって、ぼくの思考の深化であると信じたい。
CFサポート体制2020
前述の通り、2019年まではかなり個としてCFサポートをしてきたし、あらゆる挑戦を応援する、と言うことにチャレンジしてきた。Labやupと言う場ももちろん使えるだけ使った。それでも、かなり個人の取り組みだった。
しかし、2020年は2つの点から、チームでの取り組みになったと振り返っている。
ひとつは、これまで通りにREADYFOR吉倉くんとの協業によってサポートしたCFが多く、純粋に、さらにお互いの技術的にも心理的にも連携が強固にできた点からくるもの。CFのキュレーション自体を彼に全幅の信頼のもと任せるとともに、ぼくはその前段階としての事業計画の策定と、CF準備と併走するカタチで広報アプローチをしっかりととること。この2つがよりシームレスに実施することができた。ただただありがとう、と言いたい。
そしてもうひとつの理由は、こちらこそが今回の本題であるが、今月で7期目に入った弊社、株式会社しびっくぱわーが少しだけ拡大したことだ。そんなに一気に大きくなったわけではないし、全然巨大な組織ではない。がしかし、創業から5年間は役員だけと言う責任取れる人だけで無責任に真剣に仕事をしていたところから、去年7月に1号社員が入り、そして今月2号社員が入った。さらに来春には、少なくとも新卒が2人入ることが決まっている。まだまだ吹けば飛ぶような小さな組織。とは言え、今までのように全てをひとりで実施する必要性がなくチームで動けるよさ(裏を返せば全員が関わるゆえ売上総額や利益率的な思考も強く影響を与えている、良くも悪くも。)から、分業ができた。
分業とは言っても、CFサポート内容の分業ではない。
弊社は、クラウドファンディングサービスを提供してはいない。
至極当然のことながら、組織としての仕事の仕方に少しずつ自分の意識が変化した2020年だったことをここに文章として残しておこうと思う。
”あらゆる挑戦を応援する”を進める
大見得切ったものの、12月1日に配信した『4周年だよ!全員集合!』で全て話してしまった気もする。
とは言えもう少しだけ冷静に(しかしながら既にだいぶビールを飲んでしまった大晦日22:30。全てを今の言葉で残しておくことに意味がある、と言い訳を添えつつ)まとめておきたい。
方向性を失わぬよう、先に明示する。3つある。
1. HP作成を提案できるようになった
これは大きな変化。提案できるようになったことそのものも大きいのだが、社内リソースとして堀下を起点としない入り口、そして出口にもなる試作が生まれたことを本当に嬉しく思っている。
なによりユーザーフレンドリーな取り組みであることもまた嬉しい。CF起点にLPを作ることもあれば、逆もまた然り。挑戦者と会い、話し、次の展開を練る日々にあって、少しだけ寄り添える幅が広くなった。
2. CF以外の資金調達を提案できるようになった
これもまた堀下を中心とせずとも動くサポート事業。ものづくり補助金や持続化補助金を中心に補助金/助成金の申請による資金調達を真に支援できる体制ができた。またこれまでに引き続き創業融資や運転資金調達の支援ももちろん併せて、CFに”頼らずとも”タイミングや金額、状況に合わせてあらゆる資金調達の伴走者としてあれるようになった。(小泉ありがと)
今年はコロナの影響もあって出張を取りやめたため絡めることもできなかったが、2021年は 総務省 地域力創造アドバイザーとしての活動にもコミットしていきたい。「”定住自立圏を実施する市町村”か”条件不利地域を有する市町村”であれば、年度内に延べ10日以上または5回以上招聘し地域独自の魅力や価値を向上させる取組を実施した場合に、市町村に対して特別交付税措置をする」というもの。雑に言えば堀下を呼ぶ講師謝金はもちろん企画運営費やその他必要経費を年間最大560万円助成されるということ。総務省からオンラインでも対応できるようにしてもらえているので、今後うまく絡ませていければと思う。
3. 経営に対して真剣に命をかけている自負が生まれた
完全に個人的な話だが、これに尽きる。
「コンサル屋になりたくない」と言いながらコンサルティングに従事するアンビバレントな感じをやっと払拭できたと思う。それは純粋に自分も、自分の会社がやっと”ちゃんと会社になった”ということだと考えている。雇用を生んだ。
まだまだ小さなモノだが(決して大きな組織にしたいという意味はない)すべては来年の今頃に読み返して、1年前はこんなにも小さな自分だったのかと笑い飛ばすためのメモ書き。
最後走り書きになってしまった感は否めないものの、去年のnoteをなんとなく”型”としてCFを主軸にしつつ、この1年間取り組んできたことをちょっとだけまとめるつもりで振り返った。
2021年に向けて
もっと自由にあろうと思う。このnoteもそう。最初は”誰か”に向けて書いている。しかし、想定していない”誰か”なんてものは、ない。世間や社会に気を遣って自分を閉じ込めるのは違う。
ましてや、マネジメントに回るなんていうそんなつまらない言い訳をかざしてしまうのは実にもったいない。
それっぽいことで取り繕うことはまだまだやらなくていい。
事業としての、会社としての、2021年の抱負でもまとめようかと思ったが案の定飲み過ぎたからやめておこう。その代わりに、個人の野望を。
あらゆる挑戦を応援する。
そういうと「何を言ってるのかよくわからない」と言われる。よくわからないと言われてるうちは大丈夫だ。安心するのも違うが、わかられるようなことをしていては次がない。誰にも認められないようなことを、それでも信念を持って意思を貫きたいと思える一点を、曲げることなく押し通して行こうと思う。
退けば老いるぞ、臆せば死ぬぞ。って感じの1年にする。
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