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百貨店の誕生と興味深いテーマ


【ボンマルシェ】

世界で最初のデパートは、1852 年に開店したパリのボンマルシェ百貨店だと言われています。

アリスティド・ブシコーと、その妻マルグリットの構想をもとに、1852年にパリで開店しました。

二人は「五感がふるえるような、まったく新しい店を作りたい」と考え、それまでの常識を打ち破る、かつエレガントで個性的な店づくりを目指しました。

建築家のルイ-シャルル・ボワローとエンジニアのギュスターヴ・エッフェルの設計による店舗は、クリエイティブな活気に満ちた街、パリ左岸にふさわしい独自のスタイルを備えたものになりました。店内には世界中から高品質な商品を集め、さらにオリジナル商品や限定商品も提供しています。

約100年後の1984年にはLVMH(モエ・ヘネシー=ルイ・ヴィトン)グループとなって今に至っています。

ボンマルシェは、フランス語で「お買い得」を意味するとともに、市場などを自分の足で歩き回って、お手頃な値段の品物を見つけた時などに、思わず口から発せられる言葉です。

ボンマルシェの店内

【百貨店の誕生と既製服】

『百貨店の誕生』を読みながら、ふと「百貨店の誕生と既製服」についての記事(PDF)を目にした。

Search Labs AI より
百貨店が誕生した時期と既製服の普及時期は、次のとおりです。
百貨店の誕生
1852年にパリでボンマルシェ百貨店がオープンしたことが始まりとされています。
日本では1904年に三越が「デパートメントストア宣言」を行い、百貨店という業態を打ち出しました。

既製服の普及
既製服が衣料品供給の中心になったのは、19世紀半ば以降のことです。日本では1950年代前半までは、紳士服と婦人服は和服と同様に注文仕立てが主流でした。
1960年代の高度成長期に消費が拡大し、アパレルメーカーによる既製服の需要が大きくなりました。これにより百貨店では既製服の売場が広がり、全国の百貨店で既製服が手に入るようになりました。

【百貨店の管理手法】

もうひとつ興味深かったのは、管理手法が、当時から考えられていた点です。

デパート(Departmentstore)の語源の通り、depart (部門ごと) に独立した売場制が敷かれていたことです。

Departmentは部門を意味し、storeは店舗を意味します。
同じ建物内にあっても、それぞれが異なる品物を仕入・販売・管理する多くの部門(departments)を持っている大きな店舗を意味します。

先ずは、商品が到着したら着荷場で検品され、売場の責任者の判断で価格が決定されます。
そして、陳列(ディスプレイ)され顧客の目を惹くように工夫が凝らされます。
売場の販売員は、売り上げの予算を託され、予算達成のために努力していきます。

ひいては この事が、販売員同士 切磋琢磨し、接客技術の向上や売り上げ増進に繋がっていきます。

【百貨店と"まちづくり"】

ヨーロッパにおける百貨店の成立過程と現代との繋がりについてと云う題のレポートに興味深い記事が載っていた。
都市空間の大改造
パリにデパートが出来るまで、街は不潔な汚物都市と言われていた。
先ず手掛けられたのは
1) 道路を拡幅し、緑地を整備する。(都市衛生の改善)
2) 直線道路の確保。(治安の維持)
3) ホテル・デパート・市場の建設などの産業育成。
4) オペラ座の配置や公園整備など、生活の質の向上を図る。
次に
パサージュの建設や、デパートを閉鎖的な空間から、開放的な空間に変える。

【近代化への予感】

こうして、行政による都市開発とともに、デパートの近代化への動きが始まった。

ボンマルシェの外観

【参考にした資料】

『デパートの誕生』鹿島茂 著
講談社学術文庫 (2023.11.07.)

既製服普及以前の衣料品流通の光景
北山晴一(大阪桐蔭女子大学教授)
DRESSSTUDY vol.64 2013

ヨーロッパにおける百貨店の成立過程と現代との繋がりについて
北山晴一(立教大学名誉教授)
Fashion Talks vol.3 2016

2024.12.03.