見出し画像

普通じゃない普通

今年の3月ぐらいだったと思う。
駅の喫煙所にいたら、大学生の二人組の会話が聞こえてきた。
「この二年、何となく過ぎてしまった」
「あー俺も、何なんだろうねぇ」
「あとは就活して、何もしてない。折角の大学生活なのに」
「でも、○○はダンスやっててさ、大会にも出てさ」
「まぁ、そうなんだけどね」
ダンスやってると言われた方をチラッと見ると何か得意気だった。

何故かふとその光景を思い出した。
折角の大学生活なのに。
自分の大学生活はこの情勢では無かったが、それでも折角の大学生活を謳歌した自信は無い。何となく過ぎるのが大学生活だと思っていた節もある。
大学生活で無くても、折角のこの時期は今の世の中、色んな世代に溢れている。

先日、劇団水中ランナー第十三回公演「普通じゃない普通」を上演。
当初、14ステージの予定だったが、体調不良者が出てしまったことで公演が途中で中止になってしまい、4ステージの公演だった。
この「普通じゃない普通」は「迎える人々」と「重ねた人々」の2つの作品から成り、各2ステージずつ上演。
この作品は過去にNanaProduceさんの合同公演の際に書かせて頂いた作品で、他の作品と違わず思い入れも存分にある作品。自分の事や大切な方々を少なからず投影した作品。
今回、オーディションもさせて頂き、ご一緒させて頂きたいと思った初めましての方々や、是非また一緒にと出演をお願いした方々、そして劇団員とあぁでもない、こうでもないと日々悶々としながらも初日に辿り着いた作品。
日に日に作品も、皆さんが演じる登場人物も愛おしくなっていった作品。
正直な感想は何で?である。色んな何で?がつき纏っている。

劇中に「祈れるって事は素敵な事」というセリフを今回足した。
公演が再開できるかもと数日間は祈り、全公演中止になった時は正直自分のセリフを妬んだ。

中止になってから、本当に多くの方々からお声がけ頂いた。
お返ししたいなと心から思う。
でも、すぐに再演を、となれるほどメンタルは強く無かったみたいである。と言うか元々メンタルは強くない。弱小である。だって怖いもん。凄く。

でも、祈ってはみようかなと思う。誰にとかじゃなくて、祈ってみる。
夢にまだ見るので。舞台上の事を。それを見たくて最近めちゃくちゃ寝てしまう。
折角を、取り戻したいとは思う。

何か中止の事を可能な限り面白く書きたいと思ったが、無理でした。
今、多くの団体が中止の事態に追い込まれています。仕方ないで済ませれないぐらいです。
何らかの救済をと思いつつ、同時に多くの団体が出来得る限りの感染症対策を講じて、上演しています。
自分が言う事じゃ無いかもしれませんが、ご興味ある団体さんがいらっしゃいましたら、ご観劇とご声援を是非ともよろしくお願い出来ればと思います。

そして、再演する際は、是非とも何卒よろしくお願い致します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?