実家全焼からの 1週間(時系列)
前回の記事では、実家全焼の経緯を書きました。
火事発生から1週間の心の動きの変化、実際に行ったことをGoogleカレンダーに残していたので、それと共に振り返りたいと思います。
Day1:動揺
私が家族からの着信に気づいたのが、火災発生から6時間後の午前10時。
電話を折り返すと、ご近所さん宅に避難させてもらっているとのことでした。
会話の途中でテレビ局のインタビューが入り、取材に応えていました。
電話の時点でわかったことは、全員無事であることと、パジャマのまま外に飛び出してスマホと財布しかないこと。
家は全焼。車も3台中2台が全焼して、1台が一部溶けている状態。
なるほど。なかなかハードル高いなと思いつつ、まずは現地のレンタカーを予約しました。
家から持っていける暖房器具や防寒着などの衣類をスーツケース2つに目一杯詰めて、自宅を出発。
新幹線の中で家族のLINEグループを作り、必要物資を確認しました。
午後6時頃、駅に到着し、レンタカーを借りました。
店員さんが、借りられる最大日数を借りておいて、短くなれば返金可能ですよと教えてくれたので、一旦4日分予約しました。
結果、途中で延長して6日分になりました。
どれほどの被害状況かは行ってみないとわからないので、支援でレンタカーを借りる場合は、予約できる最大日数を予約しておくことをおすすめします。
また、運転する可能性がある人全員の運転免許書を登録しておくことも、万が一のためです。
結果、私しか運転しませんでしたが、ここで事故って2次被害を出すのだけは嫌だったので慎重に判断しました。
避難所に着くまでに、必要物資の買い出しをして、避難所に到着したのが午後8時。
午前4時から叩き起こされた家族は疲れていて、その日はそのまま就寝しました。
Day2:初動
さて、どんなに悔しかろうが、動き始めないといけません。
火災に遭って、一番最初に行うこと、それは、消防署で罹災証明書を申請することです。
罹災証明書(りさいしょうめいしょ)とは、災害による住宅の被害の程度を証明するものです。
今回の場合であれば、火事で家が全焼・全損しました、という証明書です。
今回のようなもらい火の場合、出火原因が明確なことと、幸いにも誰も亡くなっておらず警察の現場検証もなかったため、翌日に即日発行されました。
罹災証明書は、給付金や保険金の請求手続き、税の減免などの手続きに必要になるので、できるだけたくさん取得した方がよいと聞き、とりあえず10枚取得しましたが、それでも所要時間15分ほどでした。
火災の状況にもよりますが、罹災状況申告書を申請してから即日〜1週間以上など発行されるまで時間が掛かるケースもあるようです。
また、今回は偶然父が持って出たカバンの中に認印が入っていたのでよかったですが、印鑑が焼けて無い場合もあるのに、申請書に印鑑必須なのは、ちょっとおかしいのでは?と今でも感じます。
朝一で罹災証明書をゲットしてから、さっそく住まい探しです。
罹災証明書があれば、市営住宅の入居相談が可能とのことで、市役所に向かいました。
また、郵便局では自宅に郵便物が届かないように「郵便局止め」の手続きをしに行きました。
これで、次の住所が決まるまでの郵送物は郵便局が預かってくれます。
午後からは、靴や服、日用品などの買い物です。
特に100円ショップは大変重宝しました。
いつまで続くかわからない避難所生活の中で、物も増やせません。
まずは、とりいそぎ必要な日用品を揃えました。
Day3:限界
完全にメンタルが爆発しました。
早朝に自分のfacebookで実家が全焼したことを投稿していました。
前日の市役所で、自分たちの希望する条件では市営住宅を探すのが難しそうだとわかり、藁にもすがる思いで、空き家を知りませんか?と呼びかけました。
朝4時に投稿したにも関わらず、5時にはメッセンジャーで「知り合いの経営者が西条にいるので聞いてみます!」と連絡をもらったり、「空き家バンクの方を知っているのでお繋ぎしましょうか?」と連絡をくれたり、多くの方からサポートの申し出を受けました。
親友から「クラウドファンディング立ち上げるから、原稿チェックして!」と既に申請前の下書きページが送られてきました。
市長から「役所の各部署にを指示確認をしましたのでご安心ください」とメッセージをいただきました。
そして、昔の職場の社長から「大丈夫か?」というメッセージを見た瞬間、涙腺が崩壊しました。
ずっと気が張ってたんだと思います。
連絡をくれるありがたさを感じると同時に、声を上げられる人が声を上げることの大切さを学びました。
私は長女で、被災した家族7名(父/母/妹/弟/甥っ子/姪っ子/幼児)を何とか助けたいと意気揚々と東京から帰ったけど、何もかも初めての体験で、ひとりで抱えるには荷が重すぎました。
自分が一番しっかりしていないと!と気丈に振る舞っていましたが、家のことやお金のこと、今後の生活など「何も決まってない」、「出口が見えない」状態で私のメンタルはどん底でした。
こんな基本的なことができない精神状態だったんだと思います。
心が耐えきれず、東京から遠隔で支援してくれていた夫に「愛媛まできて助けて欲しい」と連絡をいれます。
まずは誰よりも、支援者が心の余裕を持つことが大切だと学んだ1日でした。
そして、夜中まで続いた家族会議の結果、賃貸で家を探そうと方向性が決まりました。
Day4:始動
さて、気持ちを切り替えて動き出します。
地元の友人がいくつか物件リンクを送ってくれて、その中で焼けた家から徒歩圏内の家があったので、さっそく内見の申し込みを入れます。
運良く、翌日に内見の予約が取れました。
そして、この日から前触れなく見舞金が届き始めました。
もちろん口座番号なんて伝えてないので、ある人はAmazonギフトカードをメッセージで送ってくれたり、またある人からはLINEギフトでお金が届きました。
「今から振り込もうと思うんだけど、この金額で足りそう?」と何とも男気溢れる連絡をくださった経営者の方もいました。一生忘れません。
妹のところには、甥っ子が通う中学校の教師や保護者の方々が募ってくれたという見舞金を、代表の方が届けにきてくださりました。
集まった見舞金を目の前にした妹の目に涙が浮かんでいたことを今でも思い返します。
カンパをしたい人がいるということに気がつき、見舞金口座の準備を始めます。
夕方には東京から夫が到着し、私は避難所からホテル生活に移り、気持ちに余裕が出てきました。
Day5:希望
朝から物件の内見をしました。
条件に合いそうなのと、近所なので大きく生活を変えずに済みそうだったので、すぐに審査の申し込みをしました。
せまい田舎なので、「あの火事の・・・」と不動産屋さんに伝えるとすぐに理解してくれました。
審査の結果が出るまでは1週間ほどは掛かるとのことでした。
やっと、避難所生活の終わりが少し見えてきた気がしました。
私も日中に少し時間がもてるようになったので、ホテルに戻ってリモートで仕事をしたりしました。
Day6:準備
見舞金口座の準備と併せて、Amazonほしいものリストの準備も始めました。
Amazonほしいものリストとは、自分が欲しいものをAmazonに登録されている商品からリストにして、それを見た方が購入し、Amazonが届けてくれるサービスです。
新居で必要そうなものをピックアップするために、インターネットから新生活チェックリストを拾ってきて参考にしました。
パソコン作業が好きだという甥っ子(中2)に、家族に必要なものをヒアリングして商品を登録してもらいました。
甥っ子は役割が与えられて、家族の為に頑張ってくれました。
夜はみんなで近所のスーパー銭湯へ行き、久しぶりに体重計に乗ったところ、3Kg程体重が落ちていました。
避難所にはキッチンがないため、お弁当やおにぎりなど、栄養不足な食生活が続いていたのが原因だと思います。
とにかく体力を使います。睡眠と栄養はちゃんと摂って行動することをおすすめします。
Day7:一段落
賃貸審査の申し込みも終わり、一区切りできたことでこの日の夜、東京に戻ることを決めます。
最終日は気分転換と栄養摂取も兼ねて、家族でレストランへランチに行きました。
甥っ子には家の審査が通ったらこれで採寸してね、とホームセンターで購入したかっこいいメジャーを渡しました。
今後は遠隔でのコミュニケーションが多くなると想定して、意図的に甥っ子に役割を持たせた背景もありますが、しっかり頑張ってくれました。
電車に乗る前に、地元の友達が見送りに来てくれました。
「中に手紙もあるから電車乗ってから読んでね」と渡されたお菓子。
電車で開けたら手紙ではなく、見舞金でした。
その場で開けたら返されると思ったのでしょう。
こうして、人のあたたかさにたくさん触れて、一旦地元を後にします。
そして、友人からクラウドファンディングの審査が通らなかったと連絡があります。
調べてみると、個人的理由、かつ社会性の弱い内容では審査通過が難しいということが後にわかりました。
これで支援に関しては、見舞金口座とAmazonほしいものリストの2つで進めることに決まります。
▼実際に公開したAmazonほしいものリスト
新しい生活に必要なものを選んでいます。
ご支援いただけるととてもありがたいです。
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実際に火災の当事者になり、火災に遭ったあとの行動や手続きについてまとまった本やブログはとても少ないことに気がつきました。
火事に遭ったときに手に取れるガイドブックにしたいです。
書籍化して、書店や消防署に置かれるようなものを作れたら良いなと思っているので、書籍化の手段をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非お力を貸してください。
【取材歓迎】
火事の実体験についてお役にたてそうなことがあれば、horiikemaki<at>gmail.comまでご連絡ください。