堀江りん
幼いながらにお姉ちゃんしていた私と、小さな妹の思い出エッセイ。
旅先で生まれた写真たち。ファンタジーに、ノスタルジックに、撮れるようになりたい。
日々の読書感想文。江國香織さん、豊島ミホさん、西加奈子さん、などなど、女性作家さんが好きです。
それは男の人だけの悩みではない。実は、私が濃い。放っておくとすぐに鼻の下がふっさりしてしまう。 それを剃るため、幼い頃、母によく台所へ呼ばれた。私の前にしゃがみこみ、 「ンーっ、てして」 と、内側から舌を押し当て、鼻の下を膨らませるよう指示してくる。小さい私の顔に、カミソリが当てづらかったせいだろう。 「はい、今度はこっちをンー」 その時の母のまぬけ顔も、ジョッジョッと肌を伝わってくる刃の感触も、私は嫌でたまらなかった。今ならぴったりの言葉がわかる。「辱め」だ。放っ
とでも呼べばいいだろうか。幼い頃の私は「お姉ちゃんとは、自分が犠牲になってでも妹を守らなくてはいけないものだ」と信じていた。 そういう美談をよく、ニュースやドラマの中で見てきたせいもあるだろう。 例えば、川で溺れかけた妹を助けようとして自分が命を落としてしまったお姉ちゃん。家に押し入った強盗に向かって「妹は助けて!私はどうなってもいいから」と叫ぶお姉ちゃん。 大好きだったアニメ『ちびまる子ちゃん』の中にも、まる子が狂暴なノラ犬に追いつめられた時、大人たちよりも先に駆けつ
「おなかに入っている子どもの正体を、どんな風に感じていた?」 この本を読んで、「妊婦」を体験した友人一人ひとりに聞いてみたくなりました。正体なんて、宇宙人やエイリアンみたいな言葉を引き出したいように聞こえますか?そうではありません。 「そういうものでできているんだ、今ここ(おなか)にいる子は!」 この本の語り主マキちゃんが気づいた「そういうもの」に、じんじん胸がしびれたからなんです。 この物語は、マキちゃんの日記仕立てで進みます。妊娠を知っても「私、ひょっと