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Zoomの「ズレ」は半年に一回修正しよう

リモートワークやオンライン会議が一般化するなか、デジタル上で感じる「ズレ」を経験したことはないだろうか?

画面越しに相手の顔が見え、会話を交わしているはずなのに、どこか「夢の中の人」と話しているような不思議な感覚に陥ることがある。それは、デジタルでのコミュニケーションが、対面のように完全には届かないからだ。

情報がどうしても圧縮され、相手を自分のイメージで補完してしまう部分がある。この「ズレ」をどう修正し、より深く信頼し合える関係を築けるかが、現代の課題といえるだろう。

年齢によって異なる「リアル」と「デジタル」のズレ

「やはり会って話さないと通じない」という意見は、年配の人々から特によく聞かれる。長年対面でのコミュニケーションに慣れてきた彼らにとって、画面越しのやり取りはどこか不自然に感じるのだ。

デジタルの会話では微妙な表情や仕草、空気感が伝わりにくく、どうしてもリアルとのズレが大きくなる。一方、デジタルネイティブ世代はオンラインでの会話に抵抗が少なく、Zoomでも「会った感覚」を持ちやすい。しかし、実際の対面とは異なると感じる場面も少なくない。どんな世代であっても、特に感情が絡むような複雑なやり取りではデジタルだけでは不十分と感じることが多いだろう。

オードリー・タンが語る「半年に一回の対面」の重要性

こうしたデジタルとリアルの「ズレ」を修正するために、台湾のオードリー・タン氏は、定期的に対面の機会を持つことを勧めている。タン氏はフランスの精神分析家と長年ビデオ通話でセッションを行ってきたが、半年に一度は直接会うようにしている。デジタル越しの会話では、相手の細やかな表情の変化や仕草が伝わりにくく、どうしても「圧縮された情報」に頼ることになる。そのため、相手を「夢の中の人」のように感じ、自分のイメージを投影してしまいがちだと語る。

半年に一度でも対面することで、オンラインで感じられなかった空気感や微妙なニュアンスが一気に伝わり、ズレがリセットされる。相手の表情や声の抑揚、動作など、細かな要素を再確認することで、次のオンラインでのやり取りもスムーズになるというわけだ。

デジタルコミュニケーションの限界と「会った気持ち」の危険性

現在のビデオ通話やメッセージアプリは、多くの情報をリアルタイムでやり取りできるが、画面越しの会話では感じ取れない微妙なニュアンスや空気感が欠けてしまう。圧縮された情報は相手の全体像を歪め、「夢の中の人」に対するような投影を生みやすい。

Zoomなどで「会った気持ち」になりがちだが、これには危険が潜んでいる。画面越しでは、どうしても相手に対する自分の解釈や想像が入ってしまい、「心理的投影」のリスクが高まるからだ。たとえば、リモート会議で相手の曖昧な表情を「冷たい」と感じたとき、実際には相手がただ疲れていただけかもしれない。このような誤解が積もると、次第にお互いの間にズレが生まれ、信頼関係が少しずつ歪んでいくこともある。

ズレを修正するための「半年に一回の対面」

こうした「ズレの修正」は、仕事や日常の人間関係においても非常に役立つ。たとえば、リモートワークが主流となった今、定期的に対面でのミーティングを行うことでチームメンバー間の「ズレ」を修正し、相互理解を深められる。半年に一度の対面が、リモートワークの効率や質を大きく向上させるのだ。

家族や友人との関係でも、直接会うことの効果は大きい。たとえ頻繁にメッセージを送り合っていても、対面することでオンラインでは感じられなかった温かみや感情の動きが伝わり、互いの大切さを実感できる。デジタルでのズレが解消されることで、より豊かな人間関係が築かれるのだ。

我が家でも、できるだけ食事は一緒にとるようにしている。

デジタルとリアルのハイブリッド

すべてのコミュニケーションを対面で行うことは難しいが、完全にデジタルで済ませるのもまた問題である。大切なのは、双方の良さを生かした「ハイブリッドなコミュニケーション」である。半年に一度でも直接会う機会を設けることで、日常のデジタルのやり取りが一層スムーズになり、無用な誤解に悩まされることが少なくなる。

リモートワークを行う職場でも、オフラインの集まりを定期的に設ければ、メンバー間で自然と信頼感や絆が深まる。これは単なる「顔合わせ」ではなく、お互いのズレを調整し、現実の人間関係を取り戻すための重要な時間なのである。

デジタル時代のリアルな関係を維持するために

デジタルとリアルのズレを修正するには、対面での「リセット」が欠かせない。オンラインで多くの情報を送受信できるようになった現代だからこそ、直接会って相手を「確認する」重要性が増しているのだ。

年末に向けて、「忘年会面倒くさいな。。」と思う気持ちもあるが、久しぶりのリアルな会合に顔を出すのもいいかもしれない。

*ポッドキャストやってます!

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