メタバースは没入感のタイパがいい
最近のAIブームに押されて、メタバースの話題をあまり聞かなくなった。
当初の過剰な期待に比べてなかなかユーザー数が伸びない状況で、昨年からネガティブな報道も目立つようになってきた。
確かに、過度な期待のピーク期を過ぎて、ハイプサイクルの幻滅期に入っているのだろう。
しかし、他の多くのテクノロジーと同様に、この幻滅期においては結果が出ないために関心は薄れていくが、ここで商品やサービスを改善し、プラットフォームの統廃合が起これば、資金が再度流入し安定的な成長が始まる可能性もあるだろう。
そこで考えたいのが、「そもそもメタバースの何がいいのだろう」ということ。
メタバースの代表的な利用例としては、以下のようなものがあげられてきた。
エンターテインメント
バーチャルリアリティゲーム、ソーシャルバーチャルワールド、デジタルコンサートなど、没入感のあるインタラクティブなエンターテインメント体験にメタヴァースを活用することができる。教育・研修
世界のどこからでもアクセス可能な仮想教室やトレーニング環境を構築することができる。リモートワークとコラボレーション
メタバースは、人々が共有された仮想環境の中で一緒に仕事をし、コラボレーションすることを可能にする仮想オフィス空間を作成するために使用できる。Eコマースとマーケットプレイス
メタバースは、人々が商品やサービスを売買できる仮想のマーケットプレイスを作るために使われる。ヘルスケアと治療
PTSDのバーチャルリアリティ暴露療法など、セラピーやリハビリテーションに利用できる仮想環境を構築することができる。社会的交流
メタバースは、人々が新しい方法で互いに交流することを可能にし、社会的なつながりとコミュニティ形成の新しい機会を創出することができる。
確かに便利そうだ。
しかし、よく考えてみるとこういった機能はすでに普通のネット環境で実現できている。
その体験とメタバースは何が違うのだろうか?
そこで感じたのは、「没入感のタイパ」の違いだ。
タイパとは最近使われるようになった言葉だが、「タイムパフォーマンス」の略で費やした時間に対する結果の満足度のことを指す。
簡単に言うとできるだけ時間をかけずに満足感を得たいということ。
それでは、没入するタイパとは何だろうか?
動画や音楽などのエンターテイメントにしても、仕事をするにしても、ソーシャルインタラクションするにしても、「その世界」に入り込むには少し時間が必要だ。
リモートワークをしていると、日常から仕事のモードに切り替わるのにとまどうことも多い。
部屋のドアを締めて生活感をシャットダウンしたり、一息ついたりと、「こちらの世界」から「あちらの世界」に気持ちを切り替えるのには、少しテクニックが必要だ。
「VRヘッドセットをつけてメタバースに入っていく」という所作は、この気持の切り替え(=あちらの世界への没入)に最適なのである。
あちらでガッとやって、パッと終わり、サッとこちらに帰ってくる。
こんな感じだろうか。
ただ、現在の「VRヘッドセットをつけて」という部分がコスト的にも手間的にもハードルが高いため、なかなかユーザー数が増えない状況なので、この部分が改善されてくればメタバースの可能性はあると感じる。
とりあえず、アイアンマンのVRゲームはやってみたい。
メタバース冬の時代ではあるが、今後も注目したい領域だ。