杉並区長公約/さとこビジョンの達成率(中間達成状況)を確認してみよう
岸本聡子杉並区長の就任から2年が経過し、いわゆる「さとこビジョン」の達成状況が公表されました。
「さとこビジョン」とは、当選前の岸本区長が杉並区政に対する考え方をまとめたビジョンで、杉並区長選挙の期間中に発表されていたものです。
この達成状況は、議員サイドからの要請などに基づき杉並区企画課が評価・公表したもので、その全容は9月20日にまとまりました(評価基準日は令和6年6月末日)。
今回は、この「さとこビジョンの達成率」について確認してみましょう。
「達成度」の判断は各人各様であるため、杉並区は考え方に応じて4種類の数値を公表
当初、達成率は「48.5%」と公表されました(8月30日)。
しかし、選挙中に示されていた「さとこビジョン」の中には、区長就任前から既に実施されていた取組なども含まれています。
現区長が就任する前に達成済みの内容(既に区長就任前から杉並区で実施していたもの)をあたかも現区長の実績であるかのように達成度を示しているのはどうなのか?といった指摘も出ていました。
また、定性的な取組の達成度評価も、人によって差があります。
例えば「杉並区政を民主主義の学校にします」との公約がありましたが、何をもって実現(達成)と判断するのか、評価者によって判断は異なるわけです。
そこで、各自の受け止め方の違いを尊重しつつ、改めて4種類の考え方に基づき達成率が公表されるところとなりました(9月20日)。
岸本区長の示したビジョンに対する補助機関(杉並区政策経営部企画課)の考え方を知ることができる貴重な資料となっていますので、機会があれば、ぜひご確認ください。
もちろん、これらの数値の妥当性は、私たち一人ひとりが主体的に判断していくべきものです。
既に「実現した」と評価されている公約を確認すると
「さとこビジョン」には概ね101項目の記載がありますが、その中には既に実現されているものもあれば、早々に断念されているものもあります。
これらは比較的把握しやすいのですが、問題はそのどちらともいえないようなもの(評価の分かれるもの)も存在します。
企画課が既に「実現した」と判断しているものの、実際には実現したとは言い難いもの(評価が分かれるもの)として、次の事項があります。
これら(太字部分)は、いずれも既に「実現した」ことになっています。
一部実現したとの評価ではなく「実現したもの」と評価されているのです。
部下である区職員が厳しい評価を避けるのは自然なこと
区長を支える立場の区職員が厳しい評価を避けるのは自然なこととはいえ、これらは完全に「実現した」と評価できるような段階にはありません。
新区政はまだまだ発展途上です。
より厳格に評価した場合の達成率は、4種類いずれの考え方に基づいたとしても1割以上それぞれ下がってしまうでしょう。私たちはバランスよく評価し、必要な対応策について議論していく必要があります。
参考までに、杉並区の内部統制評価についても、いま同種の問題を抱えていることに注意が必要で、議会でも警鐘を鳴らしています。
一人ひとりの区民のみなさんが最後の評価者
区民のみなさんにとっては、今回の公表情報を確認することにより、新区長が掲げていた「さとこビジョン」を改めて見つめ直す機会とすることができるでしょう。
ここに紹介しなかった区長公約の中には、既に実現されているものも数多くあります(早々に断念されているものも数多くあります)。
区長や議員の任期は4年。中長期的にみてサステナブルとはいえない選択をしてしまうケースもあります。長期最適・全体最適を無視し、目先の果実を獲得すること(短期最適・部分最適)が優先されるケースがあることにも注意が必要です。
今回の情報も参考にしながら、杉並区の未来を改めて一緒に考えていきましょう。杉並区政は、単に区長の掲げていたビジョンだけで動いていくわけではなく、多くのみなさんの関心と意志があって動いていくものです。
私たちの人生(区民としての生活)は、多くの場合、個々の政治家の任期よりはるかに長く続きます。何事も一過性の政局に左右されることなく冷静に対応していくことが必要ですね。
今後も地味に地道に課題と向き合っていきます。今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
杉並区の未来は、一人ひとりの区民の手によって創り上げていくものです。今後も区政の動向を踏まえながら、建設的な意見を交わしていきましょう。
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