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古書とわたしと。

古本と古書。
どちらも人の手に渡った本のことを指すけれど、
新品を書店で手に入れられるものを古本。絶版になっていて、新品では手に入らないものを古書。というらしい。

私はいま古書を求めている。
熊井明子さんや高柳佐知子さんの本が好きで、古書店やメルカリ、ネット通販でちょこちょこと買い集めているのだ。

箱に入っているのがまたいいよね。

先日、古本屋ですでに絶版になっている熊井明子さんの本を見つけた。
迷わず手に取り、購入。

家に帰り、わくわくする気持ちで本を開くと
裏表紙に、パンジーの花のシール。
本の文章には鉛筆でいくつもの線が引いてあった。

こういうとき、私はやったー!大当たり!と叫び声を上げたくなる。

みつけた瞬間、心にぐぐぐっとくるものがある。

私も思わず、そうそこよね!線引くなら、ああっ、これも!わかります。同じです。と
線を引かれた場所を、指で何度も追いかける。

前の持ち主の方も、同じように好きなところを、鉛筆でなぞったんだなぁと、
今の私と昔の持ち主の「好き」がつながったような気がして、じんわり嬉しくなる。

とても大切にされてきた本なのね。あなたは。

前の人も何度も読んでは、私みたいに、その一文に励まされてきたのかもしれない。だれかの生活の中で、その本も、共に在ったという事実に、ロマンを感じる。
めぐりめぐって、私のもとへきてくれたご縁がまたなんとも喜ばしい。

こんな瞬間があるから、
古書との出会いは
たまらない。

本屋さんで見つける真新しい本の出会いも好きだけれど、
古書は自分の生きた時間よりほんの少し前へ、想像をふくらませる余地がある。なんだか手に取るだけで素敵。なのだ。

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