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"料金モデル"をどう描くべきか。

こんにちわ。NEWh 堀です。
note記事も気づけばもう7本目。

今回はまたこれまでと異なる領域・論点の「料金モデル」について書いてみます。事業収支におけるインプットを規定する料金モデルをどう描くか、って実事業開発の現場でも結構悩みがちなテーマ。



料金モデルとは何か。料金モデルを構成する要素。

事業構想を考えていく際、料金モデルを描くって結構難しい。
もちろん世に出してみないとわからない部分は多分にあるものの、料金モデルをどう描くか次第で、収入構造側が規定されてくるし、その結果収支計画を描く上での前提も変わってくる。
仮説だとしても納得感と妥当性のある料金モデルをどう描くかは、結構いいテーマ。

そんな料金モデルですが、VUCAとも評される今の時代顧客との一時的な接点ではなく、持続的な関係性をどう作り出すかは避けては通れない。
その中で、
事業の売上は、[購入者数」✖️「単価」の四角形ではなく、[購入者/利用者]✖️「単価」✖️「利用期間」の3要素で構成される三角形の面積によって表される時代。とも言えるかもしれない。

売上を構成する変数の変化


この文脈の中で「LTV」というキーワード/指標は数年前からどの業種、業態でも扱われるものになってきてる。

こういう変化の中で改めて、じゃあ「料金モデル」ってなんなのか。
詰まるところ、料金モデルとはこの4つの要素の組み合わせだと捉えてたりする。

料金モデルの構成要素。

画像の通り、
・支払い者である「誰が」
・支払い対象である「何に対して」
・支払いのタイミングである「どのように」
・そして価格である「いくらで」
この4つの要素によって定義されるもの、それが料金モデル。

当然この4要素は全て変数で、それぞれ色々なバリエーションがある。
「誰が」と一言で言っても、利用者=支払い者なのか、第三者が支払い者なのか、あるいは利用者=支払い者だとしても、利用者全員が支払い者なのか、利用者の中の一部が支払い者なのか。
「何に対して」も、事業やサービスが提供している価値、を構成する機能や体験の中で、どこを支払い対象、言い換えればキャッシュポイントとすべきかはこれまた色々な可能性がありそう。
「どのように」も、月額なのか、従量なのか、都度支払いなのか、事前なのか、事後なのか。ここも色々ある。
「価格」も、スキミングプライス、ペネトレーション、フェアプライシングと色々ある。

4つの要素それぞれが変数であり、それぞれの組み合わせによって料金モデルが浮かび上がってくる。だからこそ、料金モデルは世の中に色々あって、無限にも近いバリエーションが出てくる。



料金モデル設計描く上での「観点」


じゃあ無限にある料金モデルの可能性の中から、自分たちの事業にフィットするモデルをどう組み上げるのか、なんだけど、
拠り所とすべき観点はこれまた色々ある。


料金モデルデザインの土台となる「思想」とその背景にある観点

事業戦略観点:
競争環境によっては、初期に売上/利益を作ることよりも、認知やシェアを取ることが重要だったりするシーンは往々にある。そうなると利用のハードルを高める方向に働くモデルは避けたくなってきたりする。競争環境を踏まえ、先を見据えた時に、料金モデルには何を求めるべきか。と言う観点

顧客特性:
ToBビジネスだと特に大事。つまりは導入における意思決定構造に近い。
toBビジネスだとケースによっては、使った分だけ支払うようなモデルは、裏返すと毎月の利用額が見えずに予算取りづらかったりする。なので多少の不利益が出るとしても、いくらかかるのかは事前に固まっている方が導入しやすかったりもする。顧客が意思決定/導入判断する上では、どういうモデルであるべきか。と言う観点

課題特性:
ここも大事。どんな事業であれ向き合っている課題があり、その課題には特性がある。常時発生しているような課題なのか、たまに発生する課題なのか、一定期間だけ発生するような課題なのか。日常の生活をイメージすれば日用品や情報収集、飲料といった領域における課題はある種、常態的である一方で、例えば映画館や旅行に紐づく課題はたまにしか発生しないし、実感もしない。課題を実感する頻度が違うということは、価値を求める頻度も違う。であれば、支払いを行っても良いと考えるタイミングも変わってくる気がする。課題はどのような特性(特に頻度)を抱えているのか。という観点

価値源泉/価値特性:
これも大事。概念的な理想は、サービスや事業にふれ、価値の実感が高まるとともに、費用負担も増えていく。こういう正の相関が本来的には理想とすべき料金モデル。例えば、物件管理の受託事業で、委託物件の件数で料金が変わるのか、委託物件の坪数で料金が変わるのか。をイメージすると、物件管理を委託するオーナー側の目線に立つと、物件管理の大変さは、件数以上に、物件の広さと相関する。となると、件数ではなく、坪数の方がより、価値実感との相関性の高い料金モデルになる。かもしれない。
価値を構成する体験や機能の中の、どこに価値の源泉があるのか。価値実感と費用負担は正の相関となっているか。という観点。

価値実感と費用負担の正の相関


コスト構造観点:
当然ここは外せない。価値はいくつかの機能や体験の結集として作り上げられる。そしてのその機能や体験ごとに事業主側にはコストがかかっている。
人力で誰かと誰かをマッチングさせ、なにか事業を生み出すインキュベートプラットフォーム的なビジネスをイメージすると、
当然ユーザーを集めるのにも費用は掛かるし、マッチング精度を高めるための活動にも費用はかかってる。マッチング後の事業インキュベートの活動支援にも費用はかかる。サービスや事業が提供する一連の体験の裏には、機能や活動があり、それぞれに対してコストとして発生している。
そのようなコスト構造を踏まえて、どこでキャッシュポイントを持つべきか。という観点。
当然キャッシュポイントを後ろに持っていけば行くほど、そこに到達するまでに発生しているコストは事業主側が抱えるリスクになってくる。一方で、キャッシュポイントを前に持ってくればリスクは減るけど、利用者目線に立つと体験の序盤に支払いが来るので、前述の価値実感とは相反するかもしれない。コスト構造を踏まえるとどこでキャッシュポイントを持つべきか。も外してはいけない観点。

体験とコスト構造を踏まえ、どこにキャッシュポイントを持つか。


料金モデル設計の拠り所となる「設計思想」

と、ここまで色々な観点があるよね、という話はしつつ、
これらの観点はものによってはトレードオフの関係にもなりがちだったりする。戦略上は初期に顧客を囲い込みたいから極力利用ハードルは下げたいので、使った分だけの従量制にした方が良さそう。だけど、顧客特性から考えると従量制は予算承認が取りづらいらしく嫌われるかもしれない。とか。色々。

なので結局は色々な観点がある中で、どこに優先順位、軸足を持ち
料金モデルを描くべきかというスタンス、思想が必要になってくる。

様々な観点から重視すべき要素や特性は理解をしつつ、その上で、
一つの思想として言語化する。例えばこういうフレームワーク。

設計思想を言語化する。

例えば。

例えば。

この言語化が、無限に広がる料金モデル設計における一つの羅針盤となってくれる。


料金モデルを広げ、狭める。

思想の話で分量使っちゃったのでここからはやや割愛しつつだけど、
思想を描いた上で、次にすべきはモデルの発散と収斂。

4つの要素の中でバリエーションを描き、設計思想を持って評価し、絞り込む。
例えばこんなイメージ。
※あえて解像度低い画像にしてます。

料金モデルのバリエーションを広げ、絞り込む。


どこに支払い対象を据えるのか、
どのように支払ってもらうのか、の2つを変数として扱い、
組み合わせてバリエーションを描く。

イメージ画像上は、
どこに支払い対象を据えるのかを、さらに機能軸と活用範囲の縦横でマトリクス化。その上で、どのように支払ってもらうのかで上下段で分割し、モデルのバリエーション化をし、評価してたりする。

その上で、ポジネガ評価&設計思想をもとに絞り込んでいく。

この辺りになると時には、ラフなP/Lを持って
モデルごとの採算成立性とかもみながら絞り込む。

そんなイメージ。


もちろん、世に出してみると仮説は外れることもあるだろうし、料金モデルを再設計することも往々にしてある。
構想段階において、必要以上にモデルをこねくり、悩み続ける必要はないのだけど、とはいえ、ある程度はロジックと納得性を持ったモデルを描くことは必要な気がする。


まだまだ書こうと
思ってた内容はあるんだけど、
気づけばもう結構長くなってきちゃったので今回はここまで。


料金モデルについてはまた、書く。(そのうち)



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