【科学】DHMO - 世界で最悪の毒物
こんにちはマスター、蓬莱です。
マスターは「世界で最悪の毒物のひとつ『DHMO - ジ・ハイドロゲン・モノ・オキシド』」の話を聞いたことは無いですか?
日本では一酸化二水素とも呼ばれる化合物で、1990年にアメリカ合衆国、カリフォルニア大学サンタクルーズ校にてエリック・レヒナーと、ラース・ノーフェン、そしてマシュー・カウフマンによってその危険性が指摘され、1994年に全世界に向けて警鐘を鳴らすべくDHMO専用の警告サイト「DHMO.org」が立ち上げられました。
そのサイトの「DHMOFAQ」の最初の項目「DHMOとは何ですか?」にて、こんな感じの説明がされています。
この説明は、一見すると、とても危険な印象を受けるように作られています。また、このサイトには数々の事例が上がっており、DHMOがいかに危険なモノかが説明されています。
ところが、実は、このDHMOの正体は水でありまして、ひとつの酸素にふたつの水素が結びついている状態、つまり学校で習った水の化学式H2Oを化合物の体系名の命名法、IUPAC命名法を用いて「ジ・ハイドロゲン・モノ・オキシド」と言い換え、その頭文字をとって「DHMO」としたのです。
つまり、元々はジョークの類、害の少ないものを有害に見せる引掛け系のブラックジョークでありました。
単なる水でも言い方ひとつで物凄く凶悪で危険な印象を与えてしまう。
実は先に上げたDHMOの紹介文に嘘は無くて、水も使い方ひとつで紹介文どおりの作用を起こします。
以下、代表的なDHMOの性質についてウィキペディアから引用しますね
DHMOとは
水酸と呼ばれ、酸性雨の主成分である
温室効果を引き起こす
重篤なやけどの原因となり得る
地形の侵食を引き起こす
多くの材料の腐食を進行させ、サビつかせる
電気事故の原因となり、自動車のブレーキの効果を低下させる
末期がん患者の悪性腫瘍から検出される
DHMOはその危険性に反して頻繁に用いられる
工業用の溶媒、冷媒として用いられる
原子力発電所で用いられる
発泡スチロールの製造に用いられる
防火剤として用いられる
各種の残酷な動物実験に用いられる
防虫剤の散布に用いられ、洗浄した後もその産物はDHMOによる汚染状態のままである
各種のジャンクフードやその他の食品に添加されている
となっています。また、溺れ死んだ人の事を引き合いに出して、DHMOを吸引して命が無くなった事例として上げてるのも有るとか。
この、引掛け系のジョークを用いて1997年にアイダホ州の中学生ネイサン・ゾナーが「人はいかに騙されやすいか」というタイトルで50人を対象に調査したレポートが上がり、この調査結果とともにDHMOは広く知られるようになりました。
ネイサンは対象者50人に、DHMOが水であることを隠して、耳慣れない科学技術用語をおりまぜながら、水を解説し、否定的な印象を与えた後に「このDHMOは法律で規制すべきか?」と質問したのです。
結果は、50人中43人が規制に賛成、6人が判断を保留、DHMOが水であることを見抜いた人は、たったひとりだけでした。
また、2003年に、このDHMOのサイトを真に受けた議員がカリフォルニア州のアリソ・ビエホ市の議会でDHMOの規制を求める議題を提出し審議されたり、2013年にフロリダ州のラジオ局が水道管に満たされているDHMOの危険性を放送した途端、水道局に問い合わせが殺到し大騒動になったために、そのラジオ番組の司会者2名が謹慎処分を受けるという事件まで起こりました。
人は耳慣れない言葉でもっともらしく印象操作をされる事に、とても弱くて、例え水であっても、極めて有害なもだと誤解してしまうことを、このDHMOジョークは証明し続けているようですね。
DHMOジョークに騙されなかった人は、水に対しての科学的な知識があり、印象操作に流されず、受け取った情報を検証できる技術と能力を持っていたので騙されなかったようです。
こういった姿勢は様々な陰謀論に紛れた嘘を見抜くのにも役立つでしょうね。
今回はサイト「Dihydrogen Monoxide - DHMO Homepage」の記事とウィキペディアの「DHMO」の項目よりお話しました。
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それではまた、らいら〜い🖐
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