シャブリ
#柑橘ワインクイズ 解説シリーズ。第58問のシャブリについて。
お勉強要素も多いので、メシと合わせて食いたいんじゃ!という人は最後の方だけ読もう。
シャブリ=地区名
そもそもシャブリとは?
これは地区の名前。フランスの中央部やや右側、内陸にブルゴーニュ地方と呼ばれる一帯がある。そこはフランスに数多くある生産地のなかでも、ボルドーと双璧を成す銘醸地。
そのブルゴーニュの最北端。というか飛び地のようにあるのがシャブリ地区。ド内陸にあり、冷涼。フランスというといまいち他の街や地域との位置関係がわからないけど、意外と北にある。
前にシャンパーニュの説明で使った図だけど…
この絵のディジョンって矢印が指してるあたりの、左上にシャブリ地区がある。シャンパーニュ地方が最北で、ブルゴーニュ地方は上のほう、ボルドーより全然北。しかもシャブリはその中でも北端なので、冷涼。
シャブリ=シャルドネ
品種はシャルドネ。ブルゴーニュ地方の白ワインは、ごくごく一部の地域を除いてシャルドネ100%。
シャブリ地区で作られる白ワインも、全てシャルドネ100%。
シャブリの地質
ワインの味を決める要素のうち、ブドウ畑の土壌(テロワール)が重要なひとつとなる。シャブリは石灰質の土壌が有名で、1億5千万年前の石灰質の地層が隆起している。こんな年代は覚えなくていい。
地層の名前がキンメリジャン(白亜質土壌)。恐竜の時代に白亜紀ってあったと、恐竜好きな時期があった人なら記憶にあるはず。
かつてこの地層は海底にあったらしく、牡蠣殻の破片が土壌に含まれるという。ブドウの樹が地中のミネラル分を吸い上げ果実に溜め込むことはないのだが、その要素は果汁の味に影響するらしく、いわゆる「ミネラルを感じる」と表現される味わいになる。
ほんとかよ…と言ってはいけない。そういうものなのだ。
シャブリの格付け
シャブリの格付け=アペラシオン(A.O.C:原産地呼称制度)は、4つ。
村名:プチ・シャブリ(Petit Chablis)
村名:シャブリ(Chablis)
1級:シャブリ・プルミエ・クリュ(Chablis Premier Cru)
特級:シャブリ・グラン・クリュ(Chablis Grand Cru)
特級ってのはシャブリ地区の中でも選ばれし7つの畑で作られたシャルドネで作られるもの。
川沿いの丘陵地にある畑で、西から
Bougros(ブーグロ)
Preuses(プリューズ)
Vaudesir(ヴォーデジール)
Grenouilles(グルヌイユ)
Valmur(ヴァルミュール)
Les Clos(レ・クロ)
Blanchot(ブランショ)
とある。
ちなみにワインエキスパート受験者も別に暗記しないでいい。
7つあって、グランクリュのAOCは1つだけ覚えておいて。
せまい一角の7つの畑で何がちがうのか?
というと、日照具合だとか、細かな地質の差が味の違いにつながる。グランクリュの畑は、シャブリ地区の中でも抜群の日当たりの良さ。だから特級となるわけ。農産物だからね。
1級ワインの畑は40。
こちらも川沿いで、比較的高地にあり日当たりの良い畑ばかり。
そして村名ワインのふたつ。
Chablisはざっくりシャブリ地区内で川沿いにある畑。
そしてPetit Chablisは、それよりも広い畑。ぜんぜんプチじゃない。
お値段は、ざっくり「特級≧1級>村名シャブリ≧プチ・シャブリ」これ大事。
シャブリの味。牡蠣とシャブリ
これは造り手やヴィンテージ、それこそ格付けや畑によって変わるのだけど、あくまで一般論をいうと…(テイスティング的な用語満載でいきます)
香りは白い花(アカシア)が感じられ、優れたワインには火打石のようなミネラル感が際立つ。
口に含むと白桃や青りんごのようなフルーティーな香りが広がるのが一般的だが、よりオイリーなものでは石油のようなニュアンスもある。
アタックは強く、余韻も長い。酸がしっかりしており、香りと酸とで青りんごを彷彿とさせる。ハチミツやスパイスの香りを感じるものもある。
…うざいねえ。
さて、これがなぜ「牡蠣とシャブリ」なのかというと。
牡蠣は、「海のミルク」と呼ばれるほどクリーミーな濃い味わいで、白身(赤身肉の対義語と言う意味で)。口の中に長く残る味を持つ。
この牡蠣と合う理由。
①酸
酸が強くてミネラル感さらっと流しつつ、花や果実の高い香りでリフレッシュさせる辛口のワインは、口の中の牡蠣の濃厚な風味を流すという意味で飽きずに食べられるようになる。レモンをかけるのと同じような感じ。
②味の親和性
味の面でもコクのある濃厚な牡蠣と、白ワインの中では上で「ミネラル感」と書いたある種のコクがあり、共通点がある。ので味がつぶし合わない。
上の特徴をよく読むと気づく人もいると思うんだけど、シャブリはぶっちゃけ牡蠣以外の海産物も大体よく合う。ムニエルとかいけると思う。
こんな感じです。
ひとつ注意するなら、プチ・シャブリだけ土壌の特徴が他と少し違うから、ここで説明したようなベタベタなシャブリ感を求める場合は、村名でいいのでシャブリを選ぼう。