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俺のおやじ、ミノル 【其ノ弐拾肆】 俺のおやじ、ミノルは器用貧乏であった


俺のおやじ、ミノルは、器用である。

とたんと木材を利用して
犬小屋をこしらえたり、

どこからか木の株を見つけてきては
見事な将棋盤を作ってきたり。
(駒はさすがに市販だったが)


でも、せっかくよくできてるのに
みんな人にホイホイあげてしまうので、

うちには何一つ残っていない。
とにかく器用貧乏なのだ。

・・・・・・・・・・・

そんなおやじが、あるとき
オセロゲームの盤を作って
会社から帰ってきた。

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たしか、俺が小学3、4年、
オセロゲームが全国的に
大ブームになった時分であった。


木枠にニスを塗り
盤は緑色のラシャをしつらえ
碁盤の目のようにきっちりと
64個のマスが、マジックで仕切られている。


そして今回はなんと、チップまで付いていた。

ペンキで丁寧に白黒に塗り分けられた
そのチップの正体は、

モップの柄であった。


こんな手作りのオセロ盤であったが、
俺はコイツで、腕をめきめきと上達させた。


半年後には、もはや周囲には、敵はいなかった。

そうしてやってきた、とある日曜日、
デパートの屋上で開催された
オセロゲーム大会に俺はエントリーした。


1回戦、2回戦・・・と順当に勝ち進んだ俺は
ついに決勝まで勝ち残ったのだった。

そして、県大会出場のかかった
決勝の相手は・・・

5歳の女の子!


先攻をとった俺は、
駒を黒にひっくり返しながらも

なんか嫌な予感がしていた。
スキが全くないのだ。


そして、予感は的中する。
ある一手を境に

どんどんひっくり返されていく。

そして、あえなく敗退。


準優勝だった俺は
景品にオセロゲームをもらって
家路に着いた(笑)


それからしばらくして、
おやじの作ったオセロゲームは

俺の知らないうちに
誰かの家にもらわれていった。

おやじ、今さらだが、聞いていいか?
 
あのオセロ、いつ作ってたん?
まさか、仕事中じゃないよなー?
(おやじならやりかねない・・・)(#^_^#)


それと、チップに使ったモップの柄って、
まさか現役で使ってたヤツしゃないよな?


ぴーこ





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ぴーこ
実家にいた頃は、俺にはおやじはいるのか?と思うくらい、夜遅くまで呑みあるっていて顔を見る機会も少なかったおやじ、ミノル。晩年は缶ビール1本を飲むか飲まないか、というレベルの酒量でしたが、それでも楽しく嗜んでいたようです。おやじへの酒代として大切に使わせていただきます。