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コラム:「女子大」に期待したい女性リーダー育成

依田真門(まこどん)

7年前から都内の跡見学園という女子大(4年制)でコミュニケーション系のクラスを2コマ担当しています。実は、昨今在籍学生数の減少が顕著で、非常勤の立場ながら、大学経営のかじ取りが気になっているところです。

少子化の影響から、女子大の多くは今、一般の共学大以上に深刻な志願者数の減少に悩んでいます。女性の高学歴化が進み、どの大学も(おそらくごく一部のケースを除いて)男女同等に門戸を開いており、あえて女子大を選択する理由が無くなってきたからです。

学生たちに聞いても「A学院大とMJ大を志望していたけれど落ちちゃったので仕方なかった」とか、「好きで女子大に来たわけじゃない」などと、残念ながらプラスのイメージは殆ど聞こえてきません。

時代的にも国を挙げてダイバーシティー推進があたりまえとなり、志願者が減少している実情を見れば、“女子大”不要説が出てくるのは、自然な流れなのかもしれません。とはいえ、個人的には跡見も含め、女子大には「女性リーダー育成のセンター」として、もっともっと頑張ってもらいたいし、共学の大学には担えない役割が残っていると感じています。

先日、NHKの朝ドラ「虎に翼」を見ていて、その思いが改めて強まりました。このドラマでは、思わず“あるある”と叫びたくなるような、女性が社会に出ていく上での“壁”が沢山出てきます。日本の社会で女性がリーダーとして認められ活躍していく為には、男性が経験しえないそうした“壁”を乗り越えていく必要が、今日ですら膨大にあります。

「虎に翼」のトラちゃんは、仕事力の面でも、人付き合いの面でも“頭二つ”くらい秀でた存在でした。 トラちゃんのモデルとなった三淵嘉子さんが、おそらくそういう方だったからこそ、日本初の裁判所判事にまで昇り詰められたのでしょう。そうした現実の事例を研究し、ジェンダー研究やリーダーシップ研究と融合させて知見を積み上げ、“頭二つ”出ていない人でもリーダーになっていけるカリキュラムを構築し、教育実践していくことは、今後“女子大”が取り組むべき大きなテーマではないか。そうドラマを見ていて感じたのです。

“リーダーシップ”というと、どうしてもマネジメントやビジネス系の学部で取り上げるイメージがあります。そこも考えものだと私は思います。リーダーシップは社会のあらゆる領域で求められている能力であり、そうである以上、文学部であれ、社会学部であれ、理学部であれ、リーダーシップのカリキュラムを整えておくべきです。

学部・学科に拠らず「女子大」全体として、様々な領域の女性のリーダーシップ開発に取り組んでいかなければ、世界の変化についていくことは出来ないでしょう。ジェンダーギャップ指数の順位を上げたければ、すぐにも取り組むべきだと思います。そして、しっかりカリキュラムを整えることで、積極的に女子大を選んでくる学生は必ず現れてくると、私は思います。

「跡見」を含め、多様な領域で女子教育を担ってきた日本の女子大が、次世代の女性リーダー育成の中核として復活し、学生を吸引できる様になることは、日本の未来に関わっていると言って、決して大げさではないと思います。

_/_/_/_/ ホープワークニュースレター vol.35_/_/_/_/
<希望の便り from ホープワーク協会>2024.9.20