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「エモい」を集めてみた



静謐甘美秋暮抒情、という曲がある。

UNISON SQUARE GARDENというアーティストの、

『MODE MOOD MODE』というアルバムに

収録されている、わたしのお気に入りの曲だ。

“静かで安らかで、

心地よくうっとりするような秋の暮れ”

という意味らしい。今の時期にぴったりである。

大好きな曲なので、一度聴いてみてほしい。


懐かしい、なんとも言えない感情。

昨日取り上げたけれども、「エモい」という

言葉にはこんな意味もあると思う。

心を動かされる、そんな景色をメモっていたので

今日はここに、箇条書き的に放出します。


毎朝黒猫と戯れている、出勤前の男性

これは言うまでもない。非常に可愛らしい。

猫といっしょに伸びをしているところを目撃。

男性は毎朝工場の敷地内にいるので、

工場に住み着いた猫なのかな、とか思ったり。




初手から飛ばしすぎた。王道なのもいこう。

おばあちゃん家の匂い

おばあちゃんちの匂いって、

なんであんなに安心する違和感があるんだろう。

トイレットペーパーはいい匂いだし、

時計はなんだか変な形で、

特定の時間に音楽が流れる。

ワクワクするよね。


母校の通学路

これはとくに小学校の通学路で顕著。

今よりも低い目線で見ていて、

街路樹だとか、街のクリーニング屋さんとか、

「あれ?こんなに小さかったっけ。」

と、懐かしみつつも違和感を感じる。

そして、ああ自分が大きくなったんだ、と気づく。

その通学路を今現在通っている子どもたちにも、

微笑ましい気持ちを抱く。

そして、良質なセンチメンタルに浸る。



プールの匂い

一概に言ってしまえば塩素なのだけど、

みんなの髪の毛や身体についたプールの香りが

授業後の教室に蔓延するとき、

当時は何も思わなかったけれど、今になって

あのときが恋しい、と思うようになる。

とりわけわたしは水泳部だったので、

部活動の帰り道も塩素の匂いに包まれていた。

「部活ヤダ~」なんて友人と愚痴をこぼしたり、

育ち盛りで部活前に更衣室で爆睡していたり、

そんなくだらないことも綺麗な思い出として

わたしの脳に刻まれている。

高校では部活を2年でやめたが。



雨の匂い

これはわかる人、いるのではないだろうか。

雨が降る前や降った後の匂いは、

なんだか甘く、鼻を鎮めるような匂いで、

個人的に米が炊ける匂いに似ていると思う。

天気予報を見ずに、「なんか雨の匂いする」

と言った後、本当に雨が降りだしたときには

友人たちから「お前は野生児か」と言われた。

失礼な。どちらかといえばお嬢様ですわよ。




これはシンプルでわかりやすい。

見つけたら嬉しい。世界中の人に通じる。

なにより、きれいだ。

外側と空も、内側と空も、中身の色の間でさえ

境目がわからない。曖昧さが美を醸し出している。

数分で消えてしまうのも、儚い。

子どもから大人まで、「あ!虹!」と聞くと

平和な気持ちになる。こんな物ってなかなか無い。



ガラガラな電車

わたしは郊外の育ちなので、

誰もいない電車にしょっちゅう乗り合わせていた。

同じ高校の制服しかいない車内、

知り合いでもなんでもないけど、同じ学校という

だけで、なんとなく一体感が生まれる気がした。

特に学校を早退した日や、テスト週間など

早めに帰れる日は、

これを別段特別なものに感じていた。



朝焼け、夕焼け

これもわかりやすい。

朝日、夕日が嫌いな人なんてほぼいないだろう。

海沿い、都会、田舎、森、学校、会社、

どこにいても見られるし、日本国内であれば

ある程度離れた人と同時に見ることだってできる。

「ゆうやけこやけでまた明日」の、「こやけ」

は、“小焼け”と書く。小焼けは、沈んだ太陽に

照らされた空が、もう一度赤くなることを指す。

太陽が自分を忘れてほしくなくて、

存在を匂わせているみたいで、なんか可愛い。



まずい。やめ時がわからない。

あと3つほどにしようか。





葉が生い茂る木の横に生える、枯れた木

これはどこか、寂しさを感じる。

自分を重ねてしまうときもあった。

どうしてあの子は何でも持っているのに。

どうして自分はこうもスッカラカンなんだろう。

でも別に、枯れた木だっていい。

葉が落ちて枯木立になったものは、

見通しを良くし、周囲を明るくする。

寒さに負けず、青々と葉を茂らせる幹と、

今季の自分の使命を果たし、枯れて尚

周囲に影響を与える幹。

2つの色が共存している空間が、

とても美しかった。



真夜中の高速道路

高速道路の光はオレンジだ。

窓から差し込み、手の甲に落ちてくる。

ひとりでも、ふたりでも、

そのオレンジを見て、

なにか感じるものがあってほしい。

人工的でありながらも暖かみを感じさせ、

一瞬で移り変わる景色のなかにある夜景。

首都高速でも、地方の産業道路でも、

深夜に走っている車に、少し親近感をおぼえる。

わたしもあなたも、遅くまでお疲れ様、と。




あいつが乗っていた車の芳香剤の匂い


えらく限定的だけど、こういうのもあるよね。

自分の中で昇華していればしているほど

匂い“だけ”が強く残るもので、

未練がある、とかでは絶対にないのだけど、

優しさでわたしを救い出してくれて、

優しさでわたしを突き放した残酷さの中で、

同じように優しく香っていたあの匂いを

今でも忘れることはできない。

同じ地元で、同い年で、実家暮らしで、

ふたりとも家が落ち着ける場所ではなく、

車でどこに行くでもなく、ただふらふらと、

傷を舐め合うような時間を過ごした。

彼氏がいるのでこれ以上は控えるが、

今思えばあれは異常なまでの執着だった。

もう一度言う、未練はない。










「エモい」という言葉は、これだけ具体化できる。

様々に素敵な言葉で、丁寧に置き換える作業。

なんて楽しくて、甘美な時間なのだろう。

「エモい」だけに留まらず、そこから何か

生まれるものがあれば、わたしは嬉しく思う。



明日も早いので、このへんで。

ではおやすみなさい。いい夢を。

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