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ローマ人の物語


2023年、人生初のイタリアに行くことを決めて、せっかくの旅路をより愉しむために読むことを決めた大著。興味はありつつ、あまりにも長編が多い歴史小説の代表策の1つである本書は、噂に違わぬ分量で、実はまだ全てを読み切れていません苦笑

しかしながら、塩野 七生さんの書く文章は驚くほど読みやすく(内容は非常に濃いです)、そして、ただただ面白く惹き込まれました。


西はスペインやイギリス、東はイラクまで覇権を広げイタリア半島を統一したローマ帝国の中心地である、そういった背景を知った上で、トレビの泉やフォロ・ロマーノを始めとした名所を数多く見て周れたことは、素晴らしい体験になりました。

ローマの歴史は,今を生きる僕達にとっても重要な示唆に富んでいました。組織をいかに発展させるのか,そのために人財をどのように活かし得るのか,などなど.



"平衡感覚とは、互いに矛盾する両極にあることに、中間点に腰をすえることではないと思う。 両極の間の行き来をくり返しつつ、しばしば一方の極に接近する場合もありつつ、問題の解決により適した一点を探し求めるという、永遠の移動行為ではなかろうか。 ””

例外的条件を除き、極めて高度な何かを成し遂げている人々の共通項について考えてみて。 およそ指数関数的に増える変数を前にして、いかに自らの意志で、理想を実現するか。 およそ人間の処理能力では精緻な判断が下せないような状況において(計算量の複雑性)、偶発性に委ねず、必然的に成果を出すためには、どうすれば良いか。

再現性高く、偉大な成果を出し続ける人間は、上記のような平衡感覚を持っているのではないか、という学び。

この感覚は、ほとんどの場合、先天的ではなく、後天的に習得するものであり、故に、極めて強固な意志さえあれば、大抵のことは、何とかなる。 その「何とかなる感」すなわち、「根拠はないが何とかしてやる感」こそが、偉大な成果を生み出す人々の共通項の一つではないか。

"「いかなる事業も、それに参加する全員が、内容はそれぞれちがったとしても、いずれも自分にとって利益になると納得しないかぎり成功できないし、その成功を永続させることもできない」 "この見方は、参加する全員の間で妥協が成立する、ということとはちがう。妥協とは、おり合いをつけることであり、参加者全員が歩み寄って一致点(平たく言えば落としどころ)を見つけ、それをその事業の目標と定めることである。だが、そうした場合は、参加者はいずれも、何らかの不満をいだく結果に終りやすい。妥協の産物、という言い方も、人間世界のこの現実を突いたものだろう。マキアヴェッリくらい、この意味での妥協を、非生産的であるとして嫌った人もいなかったのである。"



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