わたしに理想の母親はいらない
大人というのは、完璧な存在なのだ。
思春期だった頃のわたしは、どういうわけかそう決めつけて疑わなかった。
何をもってして完璧な存在なのかという確かな線引きなどは知りもしない。ただ、あのときのわたしは、人よりわずかでも不得手なものがあることに異常なまでに怯えていた。誰から見てもうまくいっている自分でなくては、どうしても許せない。どこからきたかもわからない不可思議な義務感に、ずっと囚われていた。
そんな義務感が、親にも向けられるようになったのはいつからだったろう。
両親は、わ