街でのむ一杯の朝コーヒー
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我が家は見当たす限り、畑、畑、田んぼ、田んぼの風景しかない農村地域。
お店でちょっとコーヒーを。
なんて探すのに一苦労。
車を走らせてまでコーヒーを飲みに行こうとは思わない。
大のコーヒー好きではないが、
時折、
ふと飲みたくなる時がある。
ぶらぶら散歩の道すがらちょっとひと休み。
店内に漂うコーヒーの香りとともに、
ゆっくりゆったり一杯のコーヒーを飲む。
通り過ぎる道ゆく人を何とはなしに眺め、
何を考えるでもなく、
ただただ一杯のコーヒーをゆっくり飲む。
そんな風景とは無縁の日常。
車で40分ほどの距離に住む8歳の孫。
月に2回我が家へお泊り時は旦那が車で迎えに行くのだが、
4月から仕事が始まり、ばあばが迎えにいくことになった。
人や車の多い街へは車で行くのは苦手だ。
自宅から最寄りの駅まで車で行き、駐車所に車を置き電車で行くことにした。
自宅から最寄りの駅まで15分。
25分の車窓を楽しみ、7時50分駅に到着。
待ち合わせまでまだ30分ある。
構内を見渡すと、あるではないか。
迷う事なく店内へ。
一杯のコーヒーを手にし座る。
何年ぶりだろう。
広い店内。
カウンター席の背面にはお酒の瓶が並んでいる。
陽が落ちると店内は夜の風景に変るのだろう。
白髪の高齢のご夫婦が入ってきた。
80はとうに過ぎているであろうか。
小柄な奥様は少し腰が曲がり、先に座る。
ふたつのカップをトレーで持ち、奥様の待つテーブルまで一歩一歩ゆっくり進むご主人のおぼろげな足取り。
“最近、腰の具合いはどうかね?”奥様が尋ねる声が聞こえてくる。
なんだか温かい気持ちにさせてもらった。
持参した本を読んでいるとあっという間に時間が過ぎる。
“おはよう!”
孫娘の明るい顔が飛び込んできた。
朝のひととき、
街で飲む一杯のコーヒー。
孫のおかげで素敵な時間をもらった。
今度の一杯のコーヒータイムは2週間後。
もっと早く家を出よう。
構内で新聞を買って読もうかね~
春が加速している。
ちょっと、
ちょっとだけ、
娘からもらった化粧品で春メイクをしてみるかな。
ちょっと、
ちょっとだけ、
春の装いをしてみるかな。
うきうきわくわくのコーヒータイムの発見だった。