「誰もがどこかではエイリアンだ」〜Coldplay Live at 東京ドーム(その3)
(承前)
ボブ・ディランは極端な例で、大概の外国人アーチストの公演においてスマートフォンの使用は黙認されており、本公演についてもYouTubeなどに多くの動画がアップされている。
そんな中、クリス・マーティンは観客に、「この曲の間は携帯電話をしまって、コンサートを楽しんで欲しい」と呼びかけて開始したのは、“A Sky Full of Stars“である。“君は星で満ちた宙だから“と歌われる曲は、個人的なつながりと、宇宙的なつながりが融合した、コンサートを一旦締めくくるに相応しい楽曲だった。
再び登場したColdplayは、アリーナ席後方にしつらえたCステージに登場する。小さなスペースで、演奏されたのは“Sparks“、そしてこの日はBTSのメンバーJINの曲“The Astronaut“をクリス・マーティンが披露した。非常にパーソナルな空間での親密な演奏を、客席が共有した時間だった。
コンサートはいよいよクライマックスである。メインステージに戻り、演奏が始まったのは私の大好きな楽曲の一つ“Fix You"。“行き詰まったあなたを 光は照らし 心の奥底を燃え立たせ そして私はあなたを治癒しよう“
Coldplayの音楽の知的な側面、文学性、抒情性が、私の趣味に合致しているのだと思う。
そして最終曲は“Biutyful“。'Biutyful'は‘Beautiful‘のもじりだが、地球すべて、さらには宇宙に通じる「美しさ」をイメージしていると思う。
バンドは、新アルバムからのこの曲を使いミュージック・ビデオを発表しているが、登場するのは人形〜パペット。いたるところに「Humans Only」と書かれた町で疎外されているのだが、音楽を通じて成功を遂げる。まさしく、地球レベルでのインクルージョンである。
このパペットたちも共演し、“Biutyful‘は演奏される。そして、Coldplayのシンボルとも言える蝶が、紙吹雪ならず紙蝶々として放たれた。
最後には、ステージに“BELIEVE IN LOVE“というメッセージ。
こうして、極めて個人レベルから、地球そして宇宙へと広がるべき、21世紀の“Love & Peace“というメッセージを残し、Coldplayの素晴らしいショーは幕を閉じた