TBS「報道特集」が伝えるもの〜金平キャスターのジャーナリスト魂
土曜日の夕方、TBSでは「報道特集」という今時珍しい地味なタイトルの番組がある。1980年から続く安組の今のメインキャスターの一人が、TBSの金平茂紀氏である。
「報道特集」を含む、これまでの様々な場面で金平氏は、ジャーナリストとしての矜持を堅持し鋭く切り込まれてきたと思う。彼のような人を見ると、日本のテレビもまだまだ捨てたものじゃないと感じる。
ロシアのウクライナ侵攻以来、日本のメディアも様々な形で現地の様子を報じてきている。しかし、侵攻後間も無く現地ウクライナに入り、自らの目で状況を見て報道した金平キャスターにかなう報道はなかなか見られない。
金平氏は、TBSのモスクワ支局長、ワシントン支局長を務めた。アメリカの立場、ロシアの動きをまさしく体感されたと思う。
そんな金平氏が、ウクライナ、そして難民を受け入れる周辺国を自分の足で回り、取材し、伝える。毎週、注目しているのだが、昨日はついにベラルーシに乗り込んでいた。
以前に書いた通り、ベラルーシは別名「白ロシア」、「小ロシア」のウクライナと共に、ロシアとは同根の国とも言える。ただし、ベラルーシは独裁者と言われるルカシェンコ大統領の下、親ロシアの立場である。
そのルカシェンコに、西側メディアとして初めてインタビューした。まだアーカイブ配信されていないが、ルカシェンコ対金平の、真剣での立ち会いのようなやり取りだった。
インタビュー映像の冒頭、金平氏は今回のウクライナ侵攻について「支持」するかとルカシェンコに尋ねた、ルカシェンコはこれに対し、<質問でお返しする。日本はアメリカの同盟国で、アメリカが起こした紛争を支持してきた。ベラルーシはロシアと一心同体だ>として、明確に答えなかった。
その後のやり取りで、ルカシェンコはロシアの立場に配慮しつつも、必ずしもロシアに与するとはせず、西側諸国への配慮もまぶしながら会見は進んだように見えた。金平氏は唯一の被爆国の人間として、核兵器について尋ねたところ、<広島・長崎にことはよく知っている。使う必要のない核兵器を使用した、戦争は終わっていたのだ。アメリカは核を持っていることを誇示したかった>と語っていた。
ロシアでは、西側諸国の企業が活動を停止している。金平氏は、ベラルーシのマクドナルドが営業中であり、西側資本のクレジットカードが使えることを確認していた。ルカシェンコは、ロシアをサポートしながらも、西側と事を構えることは避けたい。それが、彼の置かれた立場である。
金平氏は日本に戻っており、成田空港からの中継で生登場した。無事戻ってこれた姿を見て、ほっとした