手の中の音楽32〜雪村いづみ「スーパー・ジェネレイション」
雪村いづみ、1953年に16歳でレコードデビューし、美空ひばり・江利チエミと共に「三人娘」と称された。皆、1937年生まれ、今も存命なのは雪村いづみだけである。
「三人娘」時代は、私の生まれる前だが、御三方とも活躍を続けられた。美空ひばりは、言わずと知れた国民歌手。江利チエミは実写版「サザエさん」が、私の幼い頃の記憶で、楽曲としては「テネシーワルツ」。雪村いづみは、ポップスのイメージがある。
1月7日付の日本経済新聞、“名作コンシェルジュ“という連載で、吉田俊宏編集委員が、雪村いづみの「スーパー・ジェネレーション」(1974年コロンビア)というアルバムを紹介していた。
この作品の主役はもちろん雪村いづみだが、もう一人のメインは作曲家・服部良一である。NHK朝の連続ドラマ小説「ブギウギ」をご覧になっている方ならご存知、草彅剛扮する羽鳥善一のモデル。モデルというか、劇中で使用される“ラッパと娘“、“センチメンタル・ダイナ“は、実際に服部が作曲し、笠置シヅ子〜朝ドラの主人公福来スズ子(趣里)のモデル〜が歌った楽曲。来週には、エノケンこと榎本健一との共演舞台で披露された“コぺカチータ“も登場するし、早晩“東京ブギウギ“も歌われるだろう。
「スーパージェネレーション」は、この服部良一の作品が雪村いづみが歌ったアルバムで、上記の記事によるとプロデューサーは作曲家の村井邦彦(アルファミュージックを設立。ユーミンのデビューを後押し)、演奏はキャラメル・ママ。以前にアグネス・チャンに絡めて書いたが、細野晴臣・鈴木茂・松任谷正隆・林立夫というメンバー、当時ユーミンのバックも務めた。さらに、アレンジには良一の息子、服部克久が参画している。
これは聴くしかないではないか。
アルバムは、“香港夜曲(序曲)“から始まり、唯一の新曲“昔のあなた“へと続く。三曲目からは服部良一の名作パレード。雪村いづみの特徴的な声が、楽曲にマッチし、演奏・アレンジも素晴らしい。
“銀座カンカン娘“、そして笠置シヅ子が歌った“東京ブギウギ“の雪村いづみとバックの音楽が、かっこ良い。この感じは、美空ひばりも江利ちえみにも出せない。雪村独特の非日本的なポップ感覚だと感じる2曲、特に“東京ブギウギ“はロックしている。
知らなかった曲、そして大好きになった曲がある、“胸の振子“だ。服部良一の作曲、サトウハチローの作詞、1947年の作品。
🎵柳につばめは あなたにわたし 胸の振子がなるなる 朝から今日も🎵と始まる歌だが、雪村いづみの歌が最高である。オリジナルの霧島昇、ネット上で発見した八代亜紀、高岡早紀バージョンを聴いてみたが、この雪村いづみに敵うものはない。
「スーパー・ジェネレーション」、日本を代表する作曲家服部良一の作品を世代を超えて楽しめる、こちらも世代を超えている歌手雪村いづみ、そしてキャラメル・ママの名作だと思う。
紹介して下さった、日本経済新聞の編集委員の吉田俊宏さん。ありがとうございます!
*「ビッグショー服部良一」より
(“東京ブギウギ“の後に歌われる、“ヘイヘイブギ“も笠置シヅ子が歌った楽曲)
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