見出し画像

東京大学、変わったもの変わらないもの〜20年ぶりに訪問

卒業証明書が必要になり、東京大学を訪れた。20年ほど前に、近くを通りがかったのでのぞいてみたが、それ以来である。

地下鉄の本郷三丁目駅で降りて歩く。赤門前では、若者が記念写真を撮っている。法学部の入る建物は、正門から入ったところなので、まだ先である。駅から微妙に遠く、大学に行くのが面倒だったことを思い出す。

正門を入ると正面に安田講堂、左側に法学部の教室が入る建物がある。確か、この2階に事務室があるはずだ。この建物は、まったく変化がない。階段を上がった、事務室も大昔から変わっていないように見える。

証明書を請求する書類に記入し提出する。返信用封筒を渡すと、後日返送されてくる。この仕組みも、なんだか前時代的である。無料で出してくれるのはありがたいが。

銀杏並木の反対側の建物の地下には、「銀杏」という名の食堂と、生協があったはず。 地下に降りると、依然として食堂はあった。メニューはずいぶん変わった感じはあるが。生協購買部に入ると、そこは様変わりだった。売り場の半分以上は、パソコンおよびその周辺機器で占められている。文具や日用品も売っているが、IT機器はその平均単価も含め大きな顔をしている。

私の学生の頃は、当然ながらコンピューターを個人で持つことなど考えられらない時代である。ChatGPTでレポートを書くなど、想像もつかなかった。今の大学生にとっては、生活必需品なのだろう。

地上に出て、三四郎池に行ってみる。夏目漱石の小説「三四郎」に登場したことから、この通称が付けられている。ここでも、若者が写真を撮っていた。

なお、在学中に三四郎池を眺めた記憶はない。そもそも、キャンパスにほとんど行かなかったので、記憶も思い入れもないのである。

三四郎池のそばには、キッチン・カーが出ていて、パエリヤを売っている。美味しいのか、学生が行列している。「かどや山上亭 只今営業中」という看板が目につく。かつての山上会議所を改装した山上会館という施設があるが、そこにレストランがあり、メニューの宇和島鯛めしを宣伝していている。宇和島の鯛めしは、炊き込んだものではなく、タレと生卵に鯛の刺身を絡めてご飯とともに食べる。私は大好きで、かなり惹かれたのだが、昼食はここでなければ行けない、学生食堂を見学したい。

安田講堂の前庭の地下には、かなりの席数の学生食堂があった。見ると、今もあるようで、階段を降りてみた。目に入ったのは、カフェ・チェーンの出店と思われる、小洒落たカウンター。地下に降りるための踊り場スペースが、カフェ・フロアになっている。眼下に見える食堂も、心なしかきれいで垢抜けた様子だ。

下に降りてメニューを見ると、昔に比べると種類が少なくなったような気がする。麺類は各種あるが、定食類がそれほど多くはない。ライブキッチン・コーナーというものがあり、その場で作ってくれるようだ。そこにあった、たいめいけんのチーズインハンバーグを食べてみることにする。税込611円、生協会員は550円だ。

ハンバーグのサイズはさほど大きくなく、これだけでは寂しいので、小鉢のコーナーからオクラととろろの胡麻風味を取る。ご飯小、味噌汁をつけてレジで精算すると896円。決して安くはない。学生は生協に入っているので、若干は安いがそれでも学生にとってはそれなりの値段なのではないか。私が、学生の頃の学生食堂は激安だったと思う。

周りで食べている学生は、「高い」とか「値段の割に美味しくない」などという文句は言わず、行儀良く食べている。皆、元気そうな顔をしているような気もする。若い元気を少しだけ分けてもらったように感じた。

学生食堂の味は、「こんなものか」だったが、たまにはこういう場所に来て、若者の姿を見るというのも悪くないような気がした



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?