討ち入り前夜の新宿末廣亭〜神田伯山の赤穂義士伝(その1)
12月14日は赤穂義士討ち入りの日。その前日13日の東京は寒い一日だった。新宿末廣亭の人だかりは、夜席の開場を待つ観客、主任は六代目神田伯山である。
今年も特別対応で、朝11時から整理券を配布、私は10:45到着で46番だった。ただ、入場した16:30時点では二階席への入場ができた模様(今後行かれる方は、新宿末廣亭のツィッターを参照されたし) 。客席を見渡すと、若い人から年配まで幅広い年齢層、男女比もほぼイーブンと、伯山人気の裾野の広さを感じさせる。
先月も良い番組だったが、本席も充実の高座が続いた。開場が遅れ、前座、二つ目と慌ただしい高座にならざるを得なかったのは気の毒だったが、柳亭小痴楽が「のめる」を演じて、客席を落ち着かせるとともに、しっかり沸かせた。
TV・ラジオで大忙しのナイツだが、貫禄の舞台で、彼らのライブ芸を堪能した。持ち時間がしっかりある寄席の漫才と、Mー1で披露されるネタは別物である。
ナイツで沸いた客席を、神田阿久鯉が安定の芸「天明白浪伝〜徳次郎の生い立ち」でグッとしめる。中トリは、師匠の人間国宝、神田松鯉、「源平盛衰記〜扇の的」 。松鯉先生の語り口は、人柄が出ていて、観客を包み込むようである。
トイレ待ちの女性の列が長蛇でちょっと心配したが、なんとか収まりざわつく中で登場したのは、名前すら聞いたことない、松廼家八花、幇間芸である。寄席で幇間芸を見るのも初めてだ。“深川おどり”、パントマイムを生かした芸などを熱演した。
八花が演じた“深川おどり”の一番は、チョキ船で深川は辰巳芸者の下へ通う情景。これを受け、雷門小助六は「辰巳の辻占」をかけ、続く桂文治は「擬宝珠(ぎぼし)」というバカバカしい噺で観客を一旦リラックスさせる。
ひざがわりの東京ボーイズに続いて、トリの神田伯山が上がる。伯山は、神田愛山の教え<赤穂義士伝のテーマは『別れ』>について言及し、さらにマンガ「ひらばのひと」では <『すれ違う人間の物語』とも描かれている>と話す。そして、こうした側面が赤穂義士伝を今日まで読み継がれる作品にしているとする。
そんな赤穂義士銘々伝の中でも、ベスト3に入る大好きな話として、本題に入っていった。 討ち入り前日の十二月十三日(じゅうさにち)のドラマ「大高源吾」である。
(張り扇バン!)ここからが面白いところなのでございますが、残念ながら紙面がつきました。この続きはまた明日