Netflixドキュメンタリー「リディーム・チーム」〜バスケットボール王国の復活
WBCを観戦し、国と国の戦いに熱くなった方は相当多いだろう。野球はアメリカの国技とも言えるが、アメリカは国別対抗戦に必ずしも積極的ではなかったが、今回は相応の本気度を感じた。
野球同様、バスケットもアメリカのスポーツというイメージである。プロリーグNBAが一気に身近になったのは、1992年のバルセロナ五輪。マジック・ジョンソン、ラリー・バード、マイケル・ジョーダンら、スーパースターを揃えた“ドリーム・チーム“は、この競技におけるアメリカのずば抜けた強さと、トップ選手の華麗なプレーを見せつけた。
それまで、アメリカはプロ選手をオリンピックに投入していなかったが、金メダルを取り続けた。しかし、1972年のミュンヘンでソ連に敗れ銀、1988年のソウルでは銅に終わった。雪辱を期したバルセロナでプロが出ればアメリカが世界一であることを示し、アトランタ、2000年のシドニーと三連覇を遂げたのだった。
しかし、“ドリーム・チーム“は世界中のバスケット選手を刺激し、各国のレベルが徐々に上がり、打倒アメリカで着々と準備を積む。“ドリームチーム“から12年が経過した2004年のアテネ、プロ選手を擁していたにも関わらず、アメリカは銅メダルに沈む。国家的な屈辱と言ってもよいだろう。
そして、アメリカは金メダル奪還へと動き出す。2008年の北京五輪で金メダルを手にし名誉を回復すること〜Redeem〜を使命として結成されたのが、「リディーム・チーム:王座奪還への道」。Neflixでそのドキュメンタリーが配信されている。
中心となる選手は、コービー・ブライアントとレブロン・ジェームス。二人の天才プレーヤーを中心としながら、チームとして形成されていく過程が、彼らへのインタビューと共につぶさに記録されている。
NBA選手の華麗なプレーに目がいきがちだが、チームスポーツとしての泥臭いプレーがいかに大切か、改めて認識させられる。特に、コービーの気合いが、チーム全体に影響を及ぼすのだが、彼の偉大さが画面からほとばしる。
彼らが国を背負って戦う姿を見ると、アメリカもまだまだ捨てたものじゃないと感じる。
「リディーム・チーム」以降のバスケットボールの勢力図はどうなったのか。オリンピックでは、アメリカは王国の座を守っている。ただし、各国のレベルは上がり、2019年のワールドカップでアメリカは準々決勝で敗退した。今年のNBA優勝チーム、デンバー・ナゲッツのスターでファイナルMVPはセルビア代表のヨキッチ、ドラフト1位でサンアントニオ・スパーズの指名を受けたのは、フランス人のビクター・“ウェンビー“ ウェンバンヤマだ。
今年の8月はバスケットボールのワールドカップが開催される。アメリカはどういうチームで臨んでくるのだろうか。日本は残念ながら八村の欠場が発表されたが、その力はどの程度伸びているのだろうか