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手の中の音楽8〜RCサクセション「ヒッピーに捧ぐ」

2021年5月2日は、忌野清志郎の13回忌だった。ガンとの闘いから、2008年に復活して武道館でコンサート行うも、2009年に。

私が最後に清志郎のステージを観たのは、2004年2月6日の渋谷公会堂。その模様は、CDおよびDVDになっている。ただ、その頃の私は忌野清志郎を熱心にフォローしているわけではなかった。

やはり一番濃密な時間は、1980年代、RCサクセションの頃である。最初に観たのは、京都の南座で行われた年越しライブ。歌舞伎の殿堂とも言える小屋で、よくRCが演奏できたものである。その後、日本武道館、西武球場、日比谷野音などのライブを体験した。

好きな曲は数多くあるが、今日は“ヒッピーに捧ぐ”をあげる。アルバム「シングルマン」に収録された曲である。♫お別れは突然やってきて すぐに済んでしまった♫ と始まるこの曲は、“死”を想像させながら進んでいく。

雑誌「ロッキング・オン」の特別号、“忌野清志郎1951-2009”に、1995年に渋谷陽一が行ったインタビュー、"忌野清志郎が語ったRCサクセションの10曲”が再録されている。この中に、“ヒッピーに捧ぐ”が取り上げられていて、渋谷は<これもすごいよね。やっぱり天才だよ>と話す。

清志郎によると、23歳くらいの頃、作った曲。当時、RCはホリプロに所属していて、そこのヒッピーという渾名のマネージャーが急死したこと際の体験を歌っている。清志郎は、<物心ついてね、知ってる友だちの葬式っうのは初めてだったね>、<一緒の仲間が死んだっていうのは初めてだったからさ、もうビックリしちゃったよ俺は>と語る。

そして、火葬場で焼いている時に、虫歯が痛んだ、<その体験が《空を引き裂いて 君がやってきて》というところなんですが、ええ>。やっぱり天才だ。

ただ、この名曲はめったにステージではやらなかったが、1986年の日比谷野音、アンコールの1曲目に演奏された。この模様は、ライブアルバム「The Tears of a Clown」に収録され、映像化もされた。それは、清志郎の魂のパフォーマンスであり、深く心に刻まれている



"ヒッピーに捧ぐ”

お別れは突然やってきて すぐに済んでしまった
いつものような なにげない朝は
知らん顔して ぼくを起こした、
電車は動きだした 豚どもを乗せて ぼくを乗せて

次の駅で ぼくは降りてしまった
30分泣いた
涙をふいて 電車に乗りこんだ
遅刻してホールについた、
ぼくらは歌い出した
君に聞こえるように
声を張り上げて

空を引き裂いて 君がやって来て
ぼくらを救ってくれると言った。
検屍官と市役所は
君が死んだなんていうのさ
明日 また 楽屋で会おう
新しいギターを見せてあげる



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