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手の中の音楽33〜祝来日! ロッド・スチュワートの過去から現在をつなぐ「この2枚」

ロッド・スチュワートが来日、3月20日有明アリーナでライブを開催する。と言うことで、彼の作品を聴いているのだが、今日は「この2枚」を紹介したい。

彼の代表作と言えば、「Atlantic Crossing」などの1970年代リリース作品で私も大好きだが、1993年の「Unplugged...and Seated」も愛聴している。

1989年から、MTVは“MTV Unplugged“というライブ・シリーズを始めた。有名アーチストを、小規模な会場で“Unplugged“つまり、アコースティック・ライブを開催してもらい、その模様をMTVで流すというものである。大物アーチストが続々登場する中、ロッド・スチュワートもロン・ウッドをゲストにステージに上がった。

「Unplugged...and Seated」はそのステージを基にしたライブ・アルバム、その名の通りロッドはマイク・パフォーマンスなどない、着席で歌っている。この作品を私が好む理由は、大箱のライブにはない、親近感が感じられること。終始リラックスしたムードが伝わり、その場にいて聴いているような気分になる。

そして選曲が良い。70年代の代表曲がずらりと並び、ジェフ・ベックと演った、インプレッションズの“People Get Ready“、トム・ウェイツの名曲“Tom Traubert's Blues“なども入る。70年代の栄光が、10年の時を経て熟成した魅力がある。

ロッド・スチュワートは、自身の作品は当然ながら、カバー曲についても“あたかもロッドのために作られたかのように“歌う。カバーの名人は、女性ではリンダ・ロンシュタット、男性はロッド・スチュワートじゃないだろうか。

そんな彼が、リンダ同様、キャリアの後半にスタンダード曲に挑むのは、至極当然の流れである。

ロッドのもう1枚は、2002年発表の「It Had to Be You: The Great American Songbook」である。このアルバムで、彼は聴き慣れたガーシュインの“They Can't Take That Away from Me“、コール・ポーターの“Ev'ry Time We Say Goodbye“、ホーギー・カーマイケル作曲の“The Nearness of You“といった、アメリカのスタンダード曲に挑んだ。

結果、商業的にも成功し、第2作からは豪華なゲスト陣も登場、2010年の第5作までこのシリーズが続き、ロッド・スチュワートの新たなキャリアを構成することになった。新たなロッドの幕開けということで、このアルバムを提示した次第である。

なお、その間2006年には「Still the Same...Great Rock Classics of Our Time」でロックのカバーを、2009年は「Soulbook」でソウルのカバー・アルバムを発表する。前者はやや凡庸な印象だが、後者は選曲も抜群でオススメである。

さらに、今年2月にはジュールズ・ホランドと、ビッグ・バンド時代の楽曲をカバーした「Swing Fever」を発表、これまた“ゴキゲン“なアルバムである。現在79歳だがまだまだ元気だ。

事前の情報収集はするつもりがないので、再来週のコンサートではどんな曲が披露されるかは不明だが、生ロッドの魅力を感じさせてくれるステージを期待している


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