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MLBワールドシリーズの視聴者数に思う〜アメリカにおける野球の地位

MLBワールドシリーズ(以下、WS)は、ドジャースが4勝1敗で勝利。大谷翔平は、遂に優勝リングを手にすることになった。

報道によると、日本におけるテレビ視聴者数は、過去最大の1試合平均1210万人だった。大谷効果はもちろん凄まじいものがあったろうが、日本シリーズの視聴率も悪くなく、野球の根強い人気を感じる。

笹川スポーツ財団の調査によると、「観戦」という観点では、やはり日本では野球がトップ、ついでサッカーという結果である。

前述の報道では、WSのアメリカにおける視聴数も書かれている。平均1580万人である。アメリカの人口は3.4億人、日本が1.2億人なので、3倍弱。日本の視聴者数の大きさが相対感からもよく分かる。

逆に考えると、ヤンキースvsドジャースという黄金カード、“Star Wars“とも称されたスター対決、そしてゴールデン・タイムの放送における、MLBの本場の視聴数がその程度かとも感じる。

「観戦」という観点から、アメリカにおけるトップ・スポーツは、アメリカン・フットボールである。9月に始まったシーズンは、WSのタイミングにおいては中盤に差し掛かり、まさしく佳境だった。

日本で視聴者数が多かった理由の一つは、放送された曜日もあるだろう。第1・2戦は土日の午前、第6戦も土曜日の午前で見やすいタイミングだった。

つまり現地での開催は、金土・月火水・金土という予定だったわけである。日本シリーズは、土日・火水木・金土で予定されていたが、観戦の容易さに配慮されたものである。

なぜ、アメリカは日本と違ったのか。アメリカン・フットボールとのバッティングを避けた日程だったと思われる。

プロリーグNFLの試合は、通常日曜日の昼間に開催される。さらに、全米中継される試合が木曜日の夜(Thursday Night Football、通称TNF)、日曜日の夜(SNF)、月曜日の夜(MNF)に組まれる。

つまりWSの日程は、これらを避けて組まれたのである。

特にWS第1戦の前日10月24日の現地木曜日は、ドジャースの地元、ロサンゼルス・ラムズの本拠地で試合が予定されていた。さらに、WS第2戦と第3戦の間の10月28日月曜日は、ニューヨーク・ジャイアンツがピッつバークでMNFだった。

WSはニューヨークでの第5戦、水曜日の試合で決着がついたが、第5戦後の移動日には、TNFでニューヨーク・ジェッツの本拠地での試合があった。

こうして巧みにNFLとの競合を避けたのである。その結果の1580万人なのだ。

MLBがピッチクロックの導入など、人気を高めるためのさまざまな努力をしているのは、NFLという巨人、そしてバスケットボールやアイスホッケー、人気上昇中のサッカーとの観客獲得競争に勝つためである。

こうした危機感が、アメリカにおけるプロスポーツの魅力向上に貢献していると感じるのは私だけではないだろう。

日本においても、バスケのBリーグは「B.革新」とする改革に乗り出した、バレーボールはSVリーグが始まった。NPB、Jリーグもうかうかしてはいられない

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