大相撲五月場所は中日〜宮城野部屋の親方と弟子
大相撲五月場所も中日を終えた。外国人観光客の姿も多く見受けられ、盛況のようである。赤房下(土俵の東南角。TV画面の左側)の溜席には、連日落語家や講談師の姿が。これを見つけるのも楽しい。中日は笑福亭鶴光だった。
先場所は“令和の怪物“候補として、十両19歳の落合を挙げたが、今場所は八連勝で勝ち越しを決めた。とにかく強い、重い。ほとんどの相撲は十分な形になっておらず、前さばきに課題が感じられるが、まわしが片方だけでも、相手の攻めをこらえるしぶとさがあり、気を見るや一気に前に出る。肩のテーピングが気になるので、ケガだけは注意して欲しいが、末恐ろしい逸材の成長を期待している。
今場所は、幕内に上がった朝乃山に多くのファンが注目している。七日目まで全勝で、横綱照ノ富士にぶつけられることを楽しみにしていたが、中日に思わぬ黒星を喫する。朝乃山を負かしたのは、こちらも先場所に将来楽しみな力士として書いた、北青鵬。
立ち会い、少し左にづれ上からまわしを取った。巨体ながら、細かく考え抜いた戦法で、まんまと朝乃山に勝利した。
落合、北青鵬とも、元横綱白鵬の宮城野親方の部屋である。中日は、この宮城野親方がNHKの解説として座り、北青鵬の相撲を見て、「自分も朝乃山に勝つとしたら、この相撲だと思っていた」と話し、相手をしっかり分析し取組にのぞんでいる弟子の姿が嬉しそうだった。
そして、この宮城野親方の解説が群を抜いて素晴らしい。白鵬は、並ぶものなき大横綱だが、この解説を聞いていると、その秘密の一つがよく分かる。この親方に指導される弟子たちは、さぞかし強くなるだろう。
登場する力士の特徴を知り尽くしている。その上で、取り組みの細かい動きについて、なぜ良かったのか、なぜダメだったのかを理詰めで解説していく。
つまり、白鵬の現役時代は、翌日の相手についてTV解説以上の分析をし、取組を考えて対戦していきた。相撲は、体の大きな力士がぶつかり合う単純なスポーツのように見えるが、実際は極めて知的なゲームなのである。
解説者として、宮城野親方に近いアプローチをするのは、現役時代のライバル、元稀勢の里の二所ノ関親方である。相撲は頭も良くないと強くならない。
今場所は照ノ富士の強さが目立っているが、朝乃山にはなんとか食い下がっていって欲しい。霧馬山の大関昇進は、確率80%まで来た。
そう言えば、宮城野部屋の炎鵬はまだ初日が出ない。頑張れ!!
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