ロボットがつくるパスタを食べた〜「エビノスパゲティ」
8月21日放送、TBSの「がっちりマンデー」でパスタ調理ロボットが紹介されていた。導入されている店は、丸ビル地下の「エビノスパゲティ」。オフィスのすぐそばである。
冷凍パスタを茹で、ソースを用意し、茹であがったパスタをソースにからめる。そして、できあがったスパゲティを皿に入れ、店員に渡す。店員はメニュー毎に異なるトッピングを施し、席で待つお客のもとに届ける。あっという間のことである。
一丁、試してみるかと、ランチタイムに訪れた。
久方ぶりに丸ビルの地下に行くと、テイクアウトのエリアが封鎖されている。全面改装で、来年再オープンらしい。随分かかるのだね。
さて、目指す「エビノスパゲティ」はこぎれいな出で立ちの店構えで、いかにも丸の内OLが入りやすそうな雰囲気である。テレビではペペロンチーノを推していたが、“ジャパニーズハーブ“というのを選ぶ。トッピングは、水菜・茗荷・大葉に鶏の胸肉である。
テーブルの上には、粉チーズ、ペッパーミル、スパイシーなソース等が並ぶが、珍しいのは山椒のミルがある。
ほどなくスパゲティ登場。まずは、何もかけずに食べてみるが、しっかりと乳化したソースとパスタがよく合わさり美味しい。トッピングの野菜がリフレッシングなアクセントを付けてくれる。試しに、山椒をかけてみるが、これがなかなか合う。粉チーズも試してみるが、これも良い。
ナプキンには“PRONTO“と印刷されている。プロント系の店らしい。
これが、ロボットが作ったパスタか。人間がつくるものと、基本的には何ら変わらない。しかし、その先入観からだろうか、美味しいのだが、引っかかるものが何もない。あまりにも自然に美味しく、問題点が見出せない分、面白みに乏しい。たとえて言うならば、フィギュア・スケート、キム・ヨナの完璧な演技のようである。(キム・ヨナさんごめんなさい)
これは一体何だろう。ロボットが作っていると考えすぎているからかもしれない。今度はカルボナーラや、和風のものも食べてみたい。しかし、リピーターになるかと言われれば……
“美味しさ“とは一体なんだろう? ロボットの対極にあるような店、「ジャポネ」。下茹でされたパスタを、フライパンで盛大に炒めて作られる邪道スパゲティ。他の客の分と一緒に作られた場合、具材の盛られ方にばらつきが出るのではと気をもむ。名人芸のように調理され、味の質は保たれているが、毎回ワクワク感がある。
もしかしたらロボットに出せないのは、このワクワク感かもしれない。
「ジャポネ」のみならず、後を引く美味しさは、“ワクワク感“が演出しているような気がする
ちなみに、調理するロボットは奥に備え付けてあり、客からは見えない。知らない人は、人間がつくっていると思うだろう。でも、むしろ客席から見えるようにしたらどうだろうか。ロボットの一所懸命な姿を見て“ワクワク感“が………醸成されるかなぁ?