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映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」〜ビーチ・ボーイズ初心者へのご案内(その3)

(承前)

ビーチボーイズのアルバム、「Endless Summer」「ペットサウンズ」を聴かれた方、それでは映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」を是非観て欲しい。

映画は、ビーチボーイズの中心、ブライアン・ウィルソンの伝記的映画だが、彼の2つの時点に焦点が当てられている。

一つは、「Endless Summer」所収の数々のヒット曲を世に送るも、精神的な問題からコンサート・ツアーからドロップアウト、レコード作りに専念する若き日のブライアン。そこで作られるのが、様々な意味でバンドの転機となる「ペットサウンズ」。音作りの様子が、映像で再現されており興味深い。

「ペットサウンズ」の先には、“Good Vibrations“、そしてその先にはこれまでのバンドの音楽とは次元の違う作品が展望される。ブライアンの天才的な才能により、“名作“が作られていく様子が描れると共に、将来に向けての火種が感じ取られる。

もう一人のブライアンだが、彼は様々な肉体・精神的な障害に苛まれ、80年代からユージーン・ランディという人物の治療を受ける。その“治療“は、ブライアンを家族や友人から引き離し、カリフォルニア州マリブーでの生活へと導く。

映画が映すのは、その当時の彼と将来の妻メリンダとの出会いである。彼女の存在があったからこそ、我々は今でもブライアンの音楽を楽しめるとも言える。

ブライアン・ウィルソンの繊細な精神構造が、素晴らしい音楽を生み出していくのだが、その一方で天才の苦しみを映画は映すのだが、ブライアン・ウィルソンが今も音楽を作っていることを観客は知っている。この映画は悲劇ではない。

そして、「ブライアン・ウィルソン 約束の旅路」で、本人がユージーン・ランディの死を悼むシーンが改めて思い出され、全ての出来事が“Love“と“Mercy“によって、受け入れられていることに安堵する。

ビーチボーイズの音楽を聴き、ブライアン・ウィルソンに興味を持った方への3点セット。それは、この「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」、公開が続いているドキュメンタリー映画「ブライアン・ウィルソン 約束の旅路」。そして、彼の強力で成立した「ブライアン・ウィルソン自伝 I am Brian Wilson」。(おっと、ジム・フジーリ著 村上春樹訳の「ペットサウンズ」も捨てがたい)

“終わらないメロディー“の世界へようこそ!!


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