原題「The Nest」〜ジュード・ロウ主演「不都合な理想の夫婦」
TBS週末の情報番組「王様のブランチ」、映画コーナーを観ていると、「不都合な理想の夫婦」が紹介されていた。すると妻が、「これ、観に行かなきゃ」と。理由は内容に加えて、「ジュード・ロウが出てるんだから」である。
私が会社に入った目的の一つは海外で生活がしたかったことであり、入社後、希望を出していた。そして、35歳の時に渡英した。妻と二人の娘を連れてである。当時は、夫の転勤に家族がついて行くことは、至極当たり前のことであった。
楽しいことももちろんあったろうが、新しい土地、しかも海外での生活はストレスも多かったろう。今のようにインターネットで簡単に世界がつながる前の時代である。次女は、英語がほとんど分からないまま、現地の学校に放り込まれ、学校では1年間ほとんどしゃべらなかった。
私は会社に行けば自分の場所があるが、家族は皆必死で自分の居場所を築いた。何かのきっかけで歯車が狂えば、大変な事態になっていたかもしれない。この映画を観ながら、そんな昔を思い出した。
映画の時代は1980年代半ば、イギリスでビッグバンなどの制度改革・自由化の前夜である。イギリス人のローリー(ジュード・ロウ)は、ニューヨークを離れ、ロンドンに戻り、大金を稼ごうと目論む。
ロンドン郊外のサリー州に豪奢な邸宅を確保し、アメリカ人の妻(キャリー・クーン)と子供二人を迎え入れ、新しい生活を始める。表面的には豊かなイギリス生活ではあるが、それは徐々に変化していく。。。。
ドラマであり、極端な世界ではあるが、ベースには私が体験したような普遍的な問題、生活基盤の変化が家族の状態にどのようなインパクトを及ぼすかというテーマである。
加えてこの映画には、原題の「The Nest」、“巣“つまり家がどのような役割を果たすのかという、ちょっとミステリアスな要素が含まれている。監督・脚本のショーン・ダーキンのセンスの良さを感じた。
映画の後、妻に「面白かったね。どうだった?」と聞くと、「カッコよかった、ジュード・ロウ」という答えだった。もっとも、その後、「The Nest」に隠されたものについて、答え合わせ的に話した。 そんな楽しみもある。
なお、この映画はキノシネマの配給だが、我が家の行動範囲においては、立川と横浜みなとみらいの映画館でのみ公開されている。GWで多くの人出で賑わっていた横浜で観ることになった。
なぜ、都心で公開しないの?
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