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手の中の音楽30〜村上RADIOから「チェット・ベイカー・シングス」
7月30日放送の「村上RADIO」は、“歌うジャズ器楽奏者たち“という特集。
番組の最後に、“ちょっと渋すぎたかな。どうもすみません“と話していたが、非常に面白かったです。オスカー・ピーターソン、ケニー・ドーハム、ミルト・ジャクソンなどなど、「へぇーこんな人も歌っていたんだ」と、新しい発見ばかりでした。
エラ・フィッツジェラルドと、ドラマーのバディー・リッチのデュエットなんて最高でした。
村上さんは、ジョージ・ベンソンやルイ・アームストロングといった二刀流のアーチストについて、“今日はそういう歌手として定評ある、有名な人たちには遠慮してもらいました“と話しているのですが、“でも、そうはいっても、この人は気持ち的に外すわけにはいかないかな“と、最後にチェット・ベイカーの“ウォーキン“を流しました。
ここでも、“渋め“の選曲になっているのが、村上さんらしいのですが、私にとってのチェット・ベイカーはやはりベタな「チェット・ベイカー・シングス」です。多分、大学生時代に今の妻から勧められたように記憶します。
“歌うジャズ器楽楽器奏者“と言えば、やはり前述のサッチモことルイ・アームストロングで、前述のエラ・フィッツジェラルドとのデュエット・アルバム「エラ・アンド・ルイ」なんか愛聴していました。そうして聴いたチェット・ベイカーは驚きでした。
サッチモら、当時の代表的な歌手は大勢の観客に向けての歌声でしたが、アルバムの第一曲、“That Old Feeling“は一人に向けて歌う。そんな印象でした。しかもその一人は、ただの個人ではなく、英語で言うと“intimate“な相手です。そのことは、第二曲 “It‘s Always You“で、さらに強く感じられます。
“intimate“は<親密な、親しい>(ジーニアス英和辞典)という意味ですが、次のような用例が掲載されています。
<I am on intimate terms with her. = She is my intimate friend. 彼女と親密な間柄である(●性的関係を連想させる〜(以下略)>
このアルバムもチェット・ベイカーは、“intimate“な相手に向かって、極めて個人的に歌い、そしてトランペットを吹いているように聞こえるのです。女性ファンの人気が高まったというのも、よく分かります。
当初、プロデューサーら周囲はあまり乗り気でなかったようですが、このアルバムにより、チェット・ベイカーの“歌うジャズ器楽奏者“としての地位が確立されます。
歌の上手い人はいくらでもいます。しかし、唯一無二の声・歌唱を持った人はなかなかいません。村上春樹は、“このへなっとした歌声を聴かないと収まらないというか・・・・・・うーん。>とうなっています。
外せない歌声、チェット・ベイカーです
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