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日曜日の夜、ふと観た映画〜門脇麦の「あのこは貴族」

妻が不在の日曜の夜、録画してある映画を少しでも消化しようとチェックしたところ、「あのこは貴族」(2021年)という映画を発見した。確か、公開時に東京ポッド許可局でプチ鹿島さんらが話題にしていたと思う。

東京のお嬢さんと、地方から東京に出てきた女性との対比を描いた作品で、鹿島さんは演じる女優について、「逆のイメージなんだけれど、うまくはまっている」といったニュアンスのコメントをしていたと思う。

お嬢さん=貴族の華子を演じるのは門脇麦。結婚適齢期(今や死語かも)までに結婚することこそ女性の幸せと信じる、かつての日本におけるステレオタイプを追求する。冒頭、その婚約者と家族との顔合わせの場面、華子は交際していた相手と別れたことを告げる。そして、再び華子は婿探しに。

一方の水原希子演じる美紀は、富山出身、努力の末、慶應大学に進学する。そこで見たのは、幼稚舎等の内部進学生と大学から入学した学生間の“格差“。さらに、実家の経済状況が悪化し、大学を辞めざるを得なくなり、それでも東京に踏み止まろうと自立するために水商売の世界に入る。

予備知識なしに見始めたので、気楽に観られる映画かと思っていたが、なかなかに奥深く、映画の構成も上手い。

鹿島さんが話題にしていた、門脇麦=貴族、水原希子=地方からの苦学生というキャスティングだが、全く違和感はない。なにせ、門脇麦がうまい。鹿島さんもそんな話をしていたのではないか。(二人のインタビュー)

監督は、女性の岨手由貴子、調べてみると1983年生まれ。こうした才能を発見できたことも嬉しい。

“格差“というものがしばしば取り上げられ、現実問題として解決しなければならない問題があることも確かである。一方で、本質的には何が上で何が下かなんて絶対的なものではない。それぞれが、自分の価値観で正しいと思う生き方をすれば良い。パートナー次第では、家に入って家庭を支えるという昭和的な選択も立派でまた大変なことである。そんなことを思った。

多分、映画の展開が“よくある話“にならずに、女性の視点である意味淡々と流れていくところに、この映画の魅力があるのではないだろうか。

懸命に生きようとしている、若い女性たちへのエールにも感じられ、心地よく観られた映画だった



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