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日本芸術院とはなに?〜ちばてつやとつげ義晴が会員候補に
最初は記事をしっかり読んでいなかったので、ちばてつやとつげ義晴が日本芸術院の何か賞をもらうのかと思った。他の名前は、小澤征爾、野村万作、五木寛之、今さらこの方々に”賞”と感じていたら、私の誤解だった。彼らは、日本芸術院の“会員”候補になったのだった。
そもそも、日本芸術院とは何なのか?
HPによると、その役割は;
<日本芸術院は,芸術上の功績顕著な芸術家を優遇するための栄誉機関です。
また,芸術の発達に寄与する活動を行うとともに,芸術に関する重要事項を審議し,これを文部科学大臣又は文化庁長官に意見を述べることができるとされています>
オリジンは、明治40年の文部省主催の美術展覧会開催の際の審査委員会とのことで、元々はアートの権威者の団体で、それが昭和12年に文芸・音楽・演劇・舞踏の分野が加わり、その後名称が日本芸術院となったそうだ。
会員数は120名以内と決められており、対象分野は未だ上記の美術(第一部〜院長下の組織)、文芸(第二部)、音楽・演劇・舞踏(第三部)となっている。
また、日本芸術院は、会員以外から、<卓越した芸術作品と認められるものを制作した者及び芸術の進歩に貢献する顕著な業績があると認められる者 >に、恩賜賞・日本芸術院賞を授与している。ただし、その対象は上記の分野に含まれるジャンルに限られているようだ。つまり、マンガでの受賞者はいない。
最初、私はこの”賞”と勘違いしたのだが、上述の通り”会員”候補である(大臣の任命で正式に任命)。そして、「マンガ」が芸術院の対象分野に加わったのである。その他、「写真・映像」、「デザイン」、「映画」(従来は、「演劇」に含まれるとされていた)が加わった。
報道によると、芸術院については閉鎖的との指摘があり、外部有識者意見も反映し、今回の会員候補選出にいたったとのことである。
確かに会員構成を改めて見ると、例えば第三部は能楽・歌舞伎などの古典芸能に偏っている。「演劇」の会員は映画監督の山田洋次のみ。“賞”の受賞者を見ても、「演劇」は小津安二郎、水谷八重子、杉村春子のみである。
受賞者に不足があるわけでは全くないし、なかなか陽が当たらない古典芸能の一部は、こうした政府系機関によるサポートも重要だと思う。 一方で、新しい動き、芸術の創出にあまりにも鈍感だったように見える。
私は別に権威主義者ではないが、「マンガ」がこうした形で芸術分野として認められることは、嬉しい出来事であり、これからの新しい才能を生み出すためにプラスに働けばよいとは思う。
それにしても、なぜ今頃なのか。前例踏襲のお役所仕事のように見えてならない。ステークホルダーである国民は、こうした出来事にもしっかり目を光らすことが重要だと思う