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NICU⑫|外科医との面談


初のおむつ替えを終え、夫婦で家に帰宅。

少しして夕飯の準備をしていると、インターホンが鳴る… クロネコヤマトの配達員であった。


やたら大きな箱を受け取り、いざ開封してみると、先輩ママでもある幼馴染からの “出産祝い” として「特大パックの新生児用おむつ」が届いたのだった。
(届くことは事前に通知が来ていたため知ってはいたが、妻が初のおむつ替えをした日に届くのもまた面白い)

先輩ママはやはりよくわかっている(笑)
そして何より気持ちが嬉しい。




翌日、この日は息子の面会、そして「完全大血管転位症」の手術を実際に行う「外科医との面談」であった。

今回の息子に対する医療チームの中でも、産婦人科・新生児科・麻酔科・小児科・循環器科・整形外科…の方々とは面談はしていたが、「外科」の方とは今回が初めて。

“実際の執刀医” ということを改めて考えると、ある意味「息子の命を預ける最も “要” の人物」である。
(もちろんそれぞれ重要な役割があるが)

ましてや新生児の身体にメスを入れ “開胸” もする大手術。

父親である私としても、この面談は非常に重要な位置づけとして捉えていた。


そして、病院に到着し、早速面談が始まる。

フランクな方で、私たちの不安も察知しながら、手術方法の説明途中にも解説を挟んでくれたりしたため、安心して聞くことが出来た。


息子の「完全大血管転位症(ⅰ型)」に対して行う手術は、

「動脈スイッチ手術(ジャテーン手術)」となる。

■ジャテーン手術
大血管転位症に対する根治術として行われる手術で、 “人工心肺” を使って心臓を止めて行う。大動脈と肺動脈を入れ替えて、冠動脈(心臓を栄養する動脈)も同時に移し替える。

国立成育医療センター

この時の説明で改めて「人工心肺を使用して、心臓を止めて手術をする」というのを理解した。

国立成育医療センター

手術をしなければ、生存できない「指定難病」

新生児という小さな身体であり、手術も難易度が高く、非常にリスクが伴う。

そして、手術の詳細を理解すればするほど、ほんの少しだけ気持ちも “揺らぎそうなる” が、私たち自身の地に足がついている精神状態が崩れるほどではなかった。


それは、外科医自身も “手術すれば治る病気” という認識だったということが大きい。

これまでの産科、新生児科、小児循環器やそれぞれの科の看護師からも、「手術すれば治り、ほぼほぼ健常者と同じ生活が可能」ということは言われていたが、この外科医にも言及されたことで、安心感がより一層高まった。


しかしながら、先述のように非常に高い難易度で、リスクがあるのは変わらず、手術に伴う合併症や遺残症も、承諾書に記載されていた一例だけでもとんでもない数がある。

さらに言えば、医療に絶対はなく、 “記載がない症状” が出る場合もあり得るということも、念頭に置く必要があった。


そして、手術日は当初の予定通り「9月5日」

近年の「完全大血管転位症」の手術は生後 “1週間” で行うことが多いようだが、息子の場合は生後 “2週間”

これには、息子が「低体重」というのが関係していた。


出生体重は「2,167g」であったが、生理的体重減少により一時「1,900g」近くまで減っており、成長を含む体重の戻りを待つ必要があると。

開胸する大手術自体もそうだが、1番は「人工心肺による身体負担」の懸念であり、身体が大きい方がリスクが少ないと考え、手術までの期間を通常より長めに取ったとのことだった。


医療チームの方々も、息子の手術が無事成功するため、ありとあらゆる角度から予測を立て、リスクコントロールをし、最善を尽くしてくれている。

それだけでも親として救われる思いだったが、何より「全員が同じ方向を向いて」という “私たち夫婦が大事に思っていること” を外科医自身が言葉にしてくれたことに安心感を覚えた。


つづく


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