「仕事が嫌ならやめればいい」という言葉にとらわれないために
僕は「丸め込まれる」ことが嫌いです。自分が言いたいことを封じ込められ一方的に相手の言い分が採用されるのは気分が悪いので、できるだけ自分が納得できる結論がでるように心がけていますが、気がつくと丸め込まれていたことに後で気づくということがたまにあります。そのような体験をできる限り少なくできないかと考え手にとったのがこの本です。
呪いの言葉とは「あいてを今の場所に留めるための発せられる言葉」です。呪いの言葉は強くその人を縛り付け、行動や考えを阻害します。聞かなければ自由に考えて行動することができたものが、その言葉を聞いてしがったがために言葉に縛られて動けなくなってしまうのが「呪いの言葉」です。
「仕事が嫌ならやめればいい」は呪いの言葉のいい例です。人によって嫌な理由は様々で解消する方法は違うはずです。にもかかわらず、「やめる」か「やめない」かの究極の選択を求めることで聞いた相手の考えや行動を縛りつけることができます。「仕事が嫌=仕事を辞める」のであれば、「仕事をやめない=仕事が嫌ではない」というのは成り立ちません。本来はもっとグラデーションがあるはずのことを2択にすることで、「辞めないのであれば嫌ではない」と決めつけるのは詭弁ですが、多くの人がこの言葉に縛りつけられてしまいます。
では、呪いの言葉に縛り付けられないためにはどうすればよいでしょうか?呪いの言葉はあなたの行動や考えを縛り付け相手が望まない行動をさせないようにすることが目的です。まず返答に詰まる言葉を投げかけられたら一旦立ち止まって発言の意図を考えましょう。そこにはきっとあなたの思考をどこかに縛りつける意図が見えてくるでしょう。究極の2択を突きつけることでそれ以外の回答を阻害したり、答えがない質問をすることで議論を中断させたり、あなたの発言を拡大解釈して話をそらそうとしたり、きっと何らかの意図が存在するはずです。
相手の発言の意図があなたの行動を制限するものであれば、わざわざ縛られる必要はありません。あなたは自分で自由に考え行動することができます。そして気をつけてほしいのですが、相手が縛りつけているあなたの発言は「文句」ではありません。「提案」です。だれもが自由に「提案」する権利を持っています。呪いの言葉に縛られることなく好きに「提案」しましょう。
また、この本では著者である上西充子さんが有識者として国会答弁に参加した際のやり取りについて深く書かれています。自分の発言を曲解することで発言を封じ込めようとする相手に対して、論理的に突っ込みを入れていく描画は非常に読み応えがあります。現在の「桜を見る会」で荒れる国会でも同じような手法が使われているでしょうから、何が行われているのかを知る意味でも読むことをおすすめします。
僕が期待した丸め込まれない具体的な方法とはちょっと違いましたが、呪いの言葉について少しでも興味を持たれた方は手にとる価値がある一冊だと思います。具体的な「呪いの言葉」を元に筆者がどう戦っているのかが論理的に書かれており面白いです。僕も呪いの言葉ではなく人を奮い立たせる「灯火の言葉」を使える人間になりたいものです。
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