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かずはしとも『オズの魔法使い』
大人の為の「オズの魔法使い」。
この漫画の主人公・ドロシーは開拓時代の娼婦。
ドロシーはまだ23歳なのですが、お客はもっと若い娘を選んでしまうため、ドロシーは嘆き、愛犬トトに励ましてもらう日々を送っていました。
ある日ドロシーは竜巻によってトトと一緒に異世界へ飛ばされてしいました!
これを機に、ドロシーは前向きに決意します。
イケメンのオズ様と結婚しよう!
と。
かくして、ドロシーとトトはオズ様に逢うために旅を始めます。
旅の途中で出逢う仲間たちがとってもユーモラス。
…否…、果たしてユーモラスの一言で片づけてしまっていいものなのか!?
スケアクロウ(かかし)ときたら、脳みそが無いせいなのか何なのか、ひたすら愛に生きてます! といった調子で、年がら年中はつじょうき(敢えて平仮名にしてみました)。
ブリキの木こりに至っては登場してすぐに、ハートが無いからという理由じゃ済まされんだろ! と天誅を加えてやりたくなるような所業をやらかしてます。
けしからん! けしからん! 天誅じゃ!!
気弱なライオンと、ドロシーの愛犬トトが良識派なのがせめてもの救い。
ドロシーたちの行く手を阻む敵たちは、時々はまともな人たちが居るけれど、たいていはエログロ要素満載の人たち。
でも美形。
それを、この奇妙な組み合わせのドロシーご一行が、あたかも水戸黄門様ご一行の如くスカッと片付けちゃうのが実に痛快。
エピソードごとに、それぞれの人物たちの成長が切なく描かれ、でも決してべちょっと押しつけがましくなくライトに読めるのが、さすがかずはしともさんの作品といったところ。
レディコミだからと敬遠してこの漫画を読まないのは実に勿体無いです。
かつて童話の世界に憧れ、けれど大人になってしまい、嗚呼もう無垢な少女時代には戻れないのよね…と嘆く大人の女性にこそ必要な漫画だとわたしは思います。
この漫画のドロシーは、娼婦という仕事を通して色んな男性を知っているし人間の嫌な面を知りすぎて疲れてしまっていたけれど、仲間たちとの旅を通して、自分にとって本当に大事な物は何だったのか気づきます。
ドロシーの心はちっとも汚れていません。
読んでいてハッとさせられました。
特にこの漫画のラストの展開には目をみはります。
多分、ペットを飼った経験がある人の多くが抱いてきたであろう願いを、ドロシーもまた抱きました。
それをファンタジーらしい優しさで描いてくれたこの漫画…。
是非多くの人に読んでいただきたいです。
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