著…江戸川乱歩 絵…夜汽車『人でなしの恋』
誰かを「好きだ」と想う気持ち。
それは、理性では止めようがありません。
ましてや、他の誰かを愛しているふりをするなんて、出来るはずもありません。
これは、そんな悲しくも純粋な恋心を描いた小説です。
※注意
以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。
あるところに、奇妙な男がおりました。
男は、決して想いを受け入れてはくれない相手にずっと恋をしておりました。
相手が男に気づいてくれる日がこなくとも。
ずっと。
ずっと。
恋焦がれるのはその相手のことばかり…。
男の妻は、その恋の相手に嫉妬を募らせます。
けれど、苛立ちをぶつけるべき恋敵は「はじめからこの世に存在しない」のです。
本当は三角関係ですらないのです。
この歪な関係性が、やがて悲劇をもたらします。
きっと、体が滅んでも、男の恋が終わりを迎えることはないのでしょう。
これもまた恋のひとつの形…。
おそろしい結末ではあるけれど、これほどまでに男に愛された相手のことを、わたしはつい「羨ましい」と思ってしまいました。
そして、胸が痛みました。
この何倍も、いいえ何十倍も、男の妻の胸は張り裂けそうだったことでしょう。
夫婦なのに片想いだなんて…。
なんて残酷な物語。
〈こういう方におすすめ〉
報われぬ恋物語を読みたい方。
〈読書所要時間の目安〉
30分くらい。
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