誰か憑いてきていますか?
今朝4時。
わたしは騒音に叩き起こされました。
それはバイクの唸り声。
ブゥンブンブンブンブゥン!
という感じです。
2ヶ月に一度くらい、こういう騒音被害があるので、恐らく近隣住民の仕業だと思います。
音を鳴らしている人が、若いのか?
中年なのか?
それとももっと年齢がいっているのか?
それは定かではありません。
が、はっきりしていることが一つあります。
それは、毎回わたしが超絶不機嫌に目を覚ますこと!
今朝もわたしはプンプンしながらベッドの上で目を開け、
「んー、もう! 近所の皆さんの安眠を妨害するとは何事か! 徹夜仕事で今寝たばかりの人もいるかもしれないのに! 赤ちゃんが目を覚まして困っている人もいるかもしれないのに! この大罪人めが! 打ち首獄門にしてやりたい! 月に代わって天誅だぞ! 最低でも駿河問いにしなきゃ気が済まん!」
と意味不明な文句を独りごちました。
そしてすぐ眠り直そうとしましたが、カッカしてしまって、さっぱり眠れず。
「あー、もう! せっかくの休日のスタートが台無し。やだやだ、もーやだ。今日はわたし何もしないからね!」
と、これまたプンスカ独り言を言い、洗濯や掃除などの毎朝のルーティンだけは済ませて、わたしは朝から図書館に向かいました。
「ふっふっふ。今日は丸一日、読書を楽しんじゃうもんね。それ以外は何にもしないもんね。ふんだ。あの暴走バイクの主が悪いんだ。盗んだバイクで走り出したいお年頃なのかもしれないけど、盗んだバイクで走り出していいのは尾崎豊だけだぞ」
と心の中で文句を言いながら。
かくして、わたしは開館時間ちょうどに図書館に入館し、読書三昧。
ああ、至福のひととき。
そして、喉が渇いたので近くのカフェへ。
…と、ここで不思議な現象が起こりました。
わたしがカフェのカウンターでアイスコーヒーを注文すると、店員さんが、
「お連れ様も、ご注文をどうぞ」
と言ったではありませんか。
その時、わたしは「わたしの後ろに他のお客さんが並んでいるのだろうな」と思って気に留めなかったのですが。
なにやら店員さんは困っている様子。
わたしは「さては後ろの人がスマホをいじっていて、順番がきたことに気づいていないのだろうな」と予想し、振り返ってみました。
しかし、そこには誰もいませんでした。
わたしが店員さんに「? 誰もいませんけど?」と聞くと、店員さんは「あっ、ああ、すみません」と言いました。
その後、わたしはアイスコーヒーを飲みながら、「店員さん、疲れていたのかな。熱中症ぎみなのかなあ」と心配しました。
喉を潤した後、わたしは再び図書館へ。
めくるめく読書の世界に没頭。
しばらくするとお腹が空いたので、ラーメン屋でお昼を食べることに。
カウンターに座ると、店員さんがお冷を持って来てくれました。
なんと二つも。
ちなみにわたしの両隣には誰もいません!
しかもわたしと同じタイミングでやってきたお客さんは0人です!
わたしは恐る恐る、店員さんに「あの〜、わたし一人なんですけど…? このお冷って…?」と尋ねました。
すると店員さんは「えっ!!」とびっくり。
わたしも「えっ!!」とびっくり。
勿体無いので、お冷は二つともわたしが飲み干しました。
とんこつラーメンも美味しく頂きました。
それからわたしは歯磨きをして、また図書館に入館。
…わたしは本を読みながらモヤモヤしました。
「これってあれかなあ? 夏名物(?)のアレかなあ? …もしかしたら誰かがわたしに憑いて来ている? どこから? 誰が? 何のために!?」
とモヤモヤモヤモヤ。
「朝っぱらから暴言を吐いたから、それを聞きつけたドMな幽霊が憑いて来てしまったのだろうか? もー! わたしに取り憑くよりも、あの暴走族みたいな人に取り憑いてよ!」
と、心の中でこれまた訳の分からない文句を言い、再び読書タイムをエンジョイ。
そして夕方17時頃になり、わたしは小腹が減ったので、レストランへ…。
…そして…。
…またしても、店員さんが「お二人様ですね。テーブル席へどうぞ」と案内してくれたではありませんか。
違う!
そうじゃない!
わたしはお一人様なの!
色んな意味でお一人様なの!
よく見て! わたし以外に誰もいないでしょ!?
…と思ったのですが、敢えてわたしは黙っておきました。
もしかしたら、わたしの空耳かもしれませんからね。
わたしが神経過敏になっているだけで、もしかしたら店員さんが「お一人様ですね」と言ったのを、わたしが聞き間違えただけかもしれませんからね。
…しかし、店内がお客さんたちで混んでいたのに4人テーブル席に案内されて早々、店員さんはわたしの前だけではなく、わたしの向かい側にも、お冷とおしぼりとフォークセットを置きました。
…こ、これってやっぱり…。
わたしは思い切って、店員さんに「あの、わたし一人なんですけど…?」と聞きました。
もしかしたら、店員さんがわたしの連れ(そんな人はいませんが)が遅れて入店すると勘違いしているだけかもしれませんからね。
しかし店員さんは、「…こちらの男性の方は? お二人様では?」と、誰もいない空間とわたしを見比べながら、わたしの質問の意図が分からない様子で戸惑っていました。
何これ? ドッキリ? とも思ったのですが、わたしは正直に、
「わたし一人です」
と言いました。
店員さんは驚いた顔をして謝ってきましたが、いや、店員さんは何も悪くないと思います。
今日わたしはずっとこんな調子なので…。
店員さんのおかげで、わたしに憑いてきていたのが男性だということもついに判明したので、レストランの店員さんに感謝しております。
どのようないきさつで幽霊になったのでしょうね、その男性は?
おそらくわたしを何らかの理由で気に入って憑いてきたのでしょうし、もしその男性がイケメンだったとしたら、生前に出会えなかったことが非常に悔やまれます。
ただしイケメンに限る!!
イケメン以外はわたしに取り憑いてはいけない!!
単に憑いて来られているだけなのでわたしには大した被害はないものの、このままでは店員さんたちにとっては迷惑。
また、これから幽霊にお風呂にも侵入されたらさすがのわたしも不愉快です。
女性の幽霊ならともかく、男性の幽霊だと、なんか嫌。
そもそも幽霊に性別があるのかどうかも不明ですが。
とにかく追い払いたい!
というわけで、わたしはレストランでニンニクマシマシのスペシャルメニューを注文しました。
丸ごとのニンニクが何個も入った、ザ・ニンニク臭が凄まじいパスタです。
それに更にニンニクのすりおろしをトッピングし、
「ん? しまった、ニンニクは吸血鬼対策だった。幽霊を追い払うには、塩の方がいいかな? ニンニクも嫌がるかもしれないけど。念のため塩も景気良く振っておこう」
と気づいたので塩もガッツリ振りかけました。
このモーレツな口臭スペシャルによって、幽霊を撃退出来たものと思いたいです。
…おかげさまでわたしの全身からニンニク臭がするため、明日は幽霊だけではなく、生きている人間にも会えないけれど…。
もはや鉄壁の要塞です。
誰もわたしに近寄れない…!
以上の話は、作り話ではなく実話です。
嘘みたいな本当の話。
まさかnoteに、ひんやりする体験記を投稿する日がくるとは!
幽霊には是非、わたしではなく、あの騒音バイクの持ち主の夢枕に立って、「あなたねえ、近所迷惑ですよ!」とお説教してやって欲しいです。
…あれ?
ここまで書いて、ふと思ったのですが、もしかしたら幽霊は色んな意味でお一人様なわたしを哀れんで寄り添ってくれただけなのかも…?
だとしたら、なんて心優しき幽霊。
そんな素敵な男性と生きているうちに出会えなかったことが残念です。
せめて早く成仏なさいませ。
わたしは今からバスソルトをた〜っぷり入れたお風呂に入りますので。
死海かな? と思うくらいの塩湯が完成しましたので。
きっと塩のパワーで幽霊をばっちり追い払える…はず。
ありがとう幽霊。
さようなら幽霊。
さよなら出来る…よね?
…そういえばわたし、昨日、漫画『チェンソーマン』1〜11巻を一気読みしたのですよ。
そして、「もしわたしがこの漫画の登場人物だったら、どの悪魔と契約しようかな?」と妄想したのですよ。
…どうしよう、もし今回わたしに憑いてきたのが幽霊じゃなかったら…。
塩じゃ効かない…!?