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令和6年8月9日 「キズ 単独公演 Peace begins with…」長崎公演 に行って来ました(後編)

 照明が落とされて。

 しばしの沈黙。

 やがて波のように歓声が湧き上がりました。

 わたしにはさっぱり見えないけれど、メンバーたちがステージに現れたのが分かりました。

 一曲目は『黒い雨』。

 初めて聴く曲のような気がしました。

 これまでに何度も聴いた曲なのに。

 歌い出しに心を鷲掴みにされました。

 それがまるで悲鳴のようだったから。


 平和を祈る曲にも、ラヴソングにも聴こえる曲ですが、生で聴いていると、過去から現代へ旅をしているかのような気分になりました。

 連綿と続いてきた人間の歴史。

 その中で、争いが無かった時代は、おそらく無いでしょう。

 昔から、欲しいものを力ずくで奪い取るために武器を手に取った人がいたでしょう。

 また、この曲のように大切な人を守るために武器を手に取った人もいたことでしょう。

 そうして殺し合い、愛する人を失って。

 報復が報復を生んで。

 禍根がいつまでも残って。

 武器は、刃から銃へ、銃から爆弾へと、人間の手には負えないくらいの威力を増すようになって。

 その結果が原爆で。

 それでもまだ世界のあちこちで戦争が起きていて、核爆弾もあって…。

 学ばず、憎しみ合う。

 「奪うために」或いは「自衛のために」、銃や核爆弾を持つ。

 持ったら使いたくなる。

 そんな人間の歴史の中では、ひょっとしたら平和を願う人の方が異端なのかもしれません。

 それでも人を愛する。

 家を建てる。

 夢を歌う。

 平和を祈る。

 …そういう気持ちが、こうしてこの曲を生で聴いたことで、スーッと優しく心に入ってきました。

 最高にロックな曲ですね。

 また、来夢さんは「なぜ他の日本のミュージシャンがこういうライヴをやらないのかが分かりません。僕たちはまた来年の8月9日も長崎に来ます」といった主旨の話をしていました。

 やる・やらないは各ミュージシャンの自由ですし、「8月6日」や「8月9日」をテーマにした曲を作ったミュージシャンも数多くいますが、こうしてまさにその日その場所でライヴをしてくれるバンドがいてくれるのは本当に幸いなことです。

 なぜなら、きっかけになりますから。

 戦争について考えるきっかけに。

 ニュースや新聞で外国同士の戦いを毎日目にしても、そして、それに日本だって絡んでいるのだと知識として知ってはいても、戦争を「自分に関わる問題」として捉えている人は果たしてどれだけいるのでしょうか?

 対岸の火事のように思ってはいないでしょうか?

 それが、8月6日に広島で、8月9日に長崎でライヴをして、セットリストの全曲ではないにしても、こういう曲を演奏してくれたなら、それを聴いた人は自然と戦争や平和について考えますよね。

 普段は広島や長崎に縁が無いばかりか、毎日芸能人の不倫がどうのこうのといったネットニュースをだらだら見て時間を浪費しているような人でも(ちなみにわたしもその中の一人)。

 また、「せっかくライヴ遠征で広島(または長崎)に来たから原爆資料館に行ってみようかな」なんてことも思うかもしれません。

 行った後、周りの人にその話をするかもしれません。

 そしてそれを聞いた人が関心を持つかもしれません。

 それって凄いことですよね。

 0を1にする。

 音楽って凄い!

 けれど、もしも人間というものが、心の中では平和を願いながらもどこかでは「暴れたい」という本能を持っている生き物なのだとしたら、


 
 キズのライヴで暴れればいいじゃないか!

 

 と言わんばかりの激しい曲が多くて素敵でした。

 みんなで縦ノリして。

 拳を突き上げて。

 ジャンプしまくり!

 そのおかげで、背の低いわたしでも来夢さんやユエさんやreikiさんのお顔が、チラチラとではありますが、ばっちり見えました!

 あいにく、きょうのすけさんはどうしてもドラムに隠れてしまうので、最後の挨拶の時しか見られませんでしたが…。

 それでもこうして好きなバンドのメンバーをこの目で見られるのは嬉しいですね。

 爆盛り上がり✨

 特に『平成』でヘドバンするのが楽しい!

 …多くの人たちが尊い命を捧げた昭和を経て、残念ながらどんどん余裕のない国になっていった日本の現状も描かれた曲だと思いますが…。

「ただ生きたいだけ」と叫ぶように歌うところが気持ち良かったです。

 キズの曲って、「生きて欲しい」という強いメッセージが込められた曲が多いですね。

 それもわたしがキズを大好きな理由の一つです。

 『銃声』も大好きで日頃よく聴く曲なのですが、生で聴くと感慨もひとしお。

 …と同時に、困窮する人々の生きざまが胸を抉ります。

 目を背けたいけれど、決して他人事ではなく、これもまた日本の現実…。

 『リトルガールは病んでいる。』にも鳥肌が立ちました。

 被爆地で、長崎で、8月9日にこの曲を聴く意味。

 それを噛み締めました。

 広島に投下されたのは「リトルボーイ」で、長崎に投下されたのは「ファットマン」なわけですが、「リトルガール」はこれからどこかに落とされるかもしれない核爆弾という感じもして不気味です…。

 世界のどこであろうと、そんなことになりませんように…。


 きっと、『鬼』で歌われるように、みんな死にたくないから。

 みんな、生きていたいから。

 愛する人と生きていたいから。


 また、今回、他にも良かったことがあります。

 それは、ライヴハウスという場所柄、ファン同士の距離が近いのは勿論、ファンとメンバーたちの距離も近かったということ!

 普段は首都圏の大きな会場を埋めているバンドが、こうして距離感の近いライヴハウスで公演してくれるのは、ファンにとって嬉しいことです。

 まさにライヴ感を味わえました。

 また、来夢さんが「初心を忘れないようにしたい」と話しているのを聞けたのも嬉しかったです!

 どんなに売れているバンドも、きっとスタートは小さなライヴハウスから。

 初期から応援しているファンにとっては、きっと今のキズの姿が眩しいでしょうね。

 そう思うと、わたしももっと早くキズの存在を知りたかった〜! と悔しい感じがしてきます。

 わたしはこのnoteにいつもキズの曲について書いているのですが、

 ↑わたしがキズを知ったのは、たまたまYouTubeで来夢さんとムックの逹瑯さんが共演しているのを視聴したのがきっかけなので。

 それまではキズの存在を知らなかったのです。

 なんてもったいない!

 わたしも出来れば初期からキズを好きでいたかった!!

 今回のライヴに行って、心からそう思いました。


 なお、ライヴ後の物販ではチェキ2枚とアクリルキーホルダーを購入しました。

 宝物にします✨

 ちなみに、チェキはユエさんとreikiさんが当たりました🥰

 いずれ来夢さんときょうのすけさんのチェキもゲットしたいです🎯



 また、Spotifyに今回の公演のセットリストがまとめられているそうなので、興味のある方は是非聴いてみてください✨

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