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まさかまだ一緒に居たの?

 わたしは今日仕事で、80代の女性のお宅を訪問しました。

 その方の最近の体調、お困りごと、今回の台風に関する避難所の確認や、避難の流れなどなどについてお話をうかがっていた最中…。

 驚くべきことが起きました。

 その女性が話の最中、突然顔をしかめて、

 「あ〜、もう! うるさい! うるさい! 分かったからもう黙って!」

 と言い出したのです。

 わたしが、

 「申し訳ありません。わたしの声がうるさかったんですね」

 と謝ると、その方は、

 「あなたはちっともうるさくない。男の人がずーっとうるさいから、あなたの声が聞き取りにくいの。さっき何ておっしゃった?」

 とも聞かれました。

 わたしが驚いて、思わず、

 「男の人と言うとどのような…?」

 と尋ねると、その方が、

 「あなたの隣にいる男の人」

 と言うではありませんか!

 わたしは「いや、今、わたしたち、一対一で喋ってますよ…」と言いかけて、アーッ!と気づきました。




 ↑まさかあの人がまだ居る…!?

 …わたしが思い切って恐る恐る、

 「ちなみにどんな男の人ですか?」

 と聞くと、その方は、

 「綺麗な顔をした若い男の人。ずーっとあなたに向かって〝早く家に帰って!〟と言い続けている。他には、〝雨戸を閉めて!〟〝水を貯めて!〟〝〇〇のガソリンを満タンにして!〟〝懐中電灯の電池を交換して!〟とも言っているの」

 との返事。

 …「〇〇」にはわたしの自家用車の車名が入ります。

 ちなみにわたしは訪問の際いつも社用車を使いますし、この女性とわたしの自家用車の話をしたことは一度もありません。

 幽霊話をしたことも一切ありません。

 その方は、

 「言っときますけど、わたしはまだボケちゃいませんからね。男の人がうるさいから伝えたの。あー、良かった、良かった。やっと静かになった。じゃ、さっきまでの話に戻りましょうか」

 と、満足げな表情を浮かべました。

 …わたしは平静を装いながら、この女性に台風対策や早めの避難について話をしました。

 そして訪問終了。

 わたしはいつもより早めに退勤し、自家用車で家に帰る途中、ガソリンスタンドで給油を行いました(なんとガソリンランプが点灯する間際でした)。

 自宅に帰ってすぐ雨戸を閉め、空きペットボトルやバケツに水道水を貯め、懐中電灯をチェック。

 …確かに懐中電灯はいつの間にか電池切れになっていて、スイッチをカチカチしても、ウンともスンとも言いませんでした。

 慌てて電池を交換したら、ちゃんと点灯するようになりました。

 …以上は、嘘のような本当の話です。

 綺麗な顔をした若い男の人…?

 もし彼が幽霊だとしたら、なぜ生前のうちにわたしと出会わなかったのですか!

 けしからん!(?)

 死んでしまうとはなにごとだ!

 あいにくわたし自身には、何も見えないし、何も聴こえません。

 せっかくイケメンっぽいのに残念過ぎます。

 …それにしても…、彼は一体いつからわたしの隣に居たのでしょうか?

 「憑依」と呼ぶにはあまりにも親切なアドバイスばかりくれるし、「守護霊」と呼ぶにはあまりにも表に出過ぎ…。

 離れる気配も全く無し…。

 いっそ彼をわたしの「専属マネージャー」に任命しましょうか…?

 その場合、マネージャー料はどうやって支払えば良いのでしょうか。

 ネット振込は出来ないでしょうし。

 かといって、某少年漫画みたいにわたしの寿命を対価として捧げるわけにはいかないし…。

 ひとまず、御神酒代わりに鹿児島名物の焼酎をコップに注いでみましょうか?

 いや、若い男性なら焼酎よりもビールや酎ハイが良いのでしょうか?

 なんとなくアルコールの名前を書き連ねてみたものの、別に飲み物に限定しなくても良いのかも?

 何が何やら、もうさっぱり訳が分かりません。

 とにかく、台風対策はきちっとして、今日は早めに寝ます。

 今回の台風は全国的にかなり危険な様子なので、皆さんもどうかご無事でいてください。

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