タンザニアで何故かセカンダリースクールの野球コーチになった話。
7月某日。
僕はTABSA(タンザニア野球ソフトボール連盟)のオフィスにいた。
その日何故オフィスにいたのかは覚えてないが(良くいるので)、理事?の方とグラウンドがゴミであふれててヤバイから何とかしましょうよ!という、怒り半分、悲しみ半分みたいな感情で話をしていた。
そんな話をしたあと、相談があると言われた。
「JICAボランティアの方が離任してから、学校の野球コーチがいなくなってしまった。平日の授業が始まる前、セカンダリースクール(中学~高校生くらいの学校)のコーチをやってくれないか?」
「平日の朝6:45~7:45で。」
ほえっ!?
そんな早朝から!!!!!!?
と、そんな具合で話をいただいた。
正直、朝は苦手だ。(しかも最近寝付けない日が多い)
コーチするのは良い。
だが朝が嫌だ。笑
とは考えたものの、せっかくいただいた話だし、少しでもこの国の野球界のためになるなら力になりたい。
そして、この国にいる唯一の野球人(意訳:ヒマで一応野球を知っている人)として、引き受けないわけにはいかない。
朝早い問題はあるものの(6時台はまだ外が暗いこともあり、外出を推奨されてはいない)(ただ朝眠いだけじゃないのよ)まぁ何とかなるだろう。と。
あとは週5じゃなくても良いよ。好きにプラン決めてちょ。とのこと。
そんなわけで、コーチの依頼を引き受けることにした。
じゃあ、やります。と言ったら隣で一緒に話を聞いていた少年が目を輝かせて喜んでいたのがとても印象的だった。
それほど、コーチ(野球を教えてくれる人)という存在を待ち望んでいたのだろう。
そしてその日のうちに、レターで正式にコーチの依頼をいただいた。
どうやら、これ、指導者の記録として履歴書等にも書けるような(今後そんな場面に遭遇することは無さそうなのだが)結構貴重なものらしい。
ちなみに、ソフトボールはJ-ABS(一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構)さんと連携を取りながら、クラブチームはクラブ自体からの直接オファーだったので、正式に連盟側から依頼を受けたコーチは、これが初めてになる。
そう思うと気が引き締まる。(今までも締めてたよ)
他の記事で書いたと思うが、日本人がタンザニアに野球が伝えてから10年。以来、日本人ボランティアコーチの方々がその灯を絶やさず、今日まで繋いできた。
それが流行のアレによって、その灯が消えかかってしまっていた。
もちろんやる気になれば、タンザニア人のコーチだけで、指導をすることも可能だろう。しかし、彼らもまだ野球という競技に関わって日が浅い者も多く、素人みたいなコーチも多い。
日本人から野球を教えてもらった彼らにとって、今でも日本人コーチというのはとても尊敬されていて、その存在はとても大きなものなのだと、中にいて感じる。
それともう一つ感じるのは、その場を律せる存在であるという事。
タンザニアという国は、悪く言ってしまえば、(日本と比べて)秩序のあまりない国だと感じる部分がある。
ゴミのポイ捨ては当たり前。車はクラクション鳴らし放題だし、割り込み、追い越し運転は常識。ひったくりなどの軽犯罪も多い。
野球に関して言えば、並んでキャッチボールをしない、近くに人がいるのに平気でバッティング練習始める、グローブをなげる…などなど。
そういう部分に効果あったのだろう。
良くも悪くも「礼に始まり礼に終わる」ような日本式の野球がタンザニア、特に学校関係者に受け入れられてきたことは、人を正せる、導いてくれるという、そういう期待が、今でも日本人コーチを必要としている理由なのではないかと思う。(実際に野球を始めた子供の成績が伸びたらしい)
僕は怒ったり叱ったり、そういう事が苦手だ。
出来ればそういった事は言いたくない。
そういった時にあまり英語で伝えたいことを伝えられないという事もある。(スワヒリ語もしかり)
なので、指導していくには不安も結構ある。
しかし、求められている以上、全力でその気持ちに応えたい。
少しでも野球を好きになってくれる子供たちが増え、その輪が全国に広まってくれたら嬉しい。
現状、日本人のコーチは僕しかいない。
国土の広いタンザニア全土を教えて回るには無理がある。
今教えている子たちが、将来も野球に携わり、その輪を広めていってくれたら。
そんな思いで、まずは自分の近くから、野球を伝えることをしていきたい。
本澤
タンザニアの野球・ソフトボール関連の記事は下記より。
『タンザニア・タイガースのコーチ日記。』
『タンザニア女子ソフトボール代表の日々。』
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