霊鷲山【仏教用語解説】vol.30
【仏教用語解説】のコーナーでは、さまざまな仏教用語を解説していきます。
第30回は「霊鷲山」です。
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前回、「王舎城」という、古代インドのマガダ国にあった都市について解説しました。
「霊鷲山」は、この「王舎城」にある山の名前です。
サンスクリット語では「グリドラ・クータ」と言います。「グリドラ」は「ハゲワシ」、「クータ」は山頂という意味です。山頂の形がハゲワシの頭の形に似ているので、このような名前がついたと言われています。
いまもインドに実在する山
霊鷲山はインドのビハール州にある山で、現在でも登ることができます。
実は、私もこの霊鷲山に登ったことがあります。大学の先生がインドに調査しに行くので、そこに学生15人くらいが便乗して、仏教遺跡を色々と観光させてもらう、という旅行に参加したことがあって、そのとき登りました。
実際に見たお山のシルエットは、「ハゲタカの頭と言われれば、うーん、確かにそうか…」という印象でした。お釈迦さまが生きていた時代は2000年以上前と言われていますし、山の見え方も変わっているかもしれません。そもそも、日本人の私にとってハゲタカという動物が身近ではないので、ピンとこなかっただけかもしれないですね。
正確な標高はわかりませんが、ちゃんと参道が整備されていて、歩いて30分くらいで登頂できます。
法華経や無量寿経が説かれた場所
霊鷲山は、法華経や無量寿経など、有名なお経が説かれた場所として知られており、日本だけでなく中国やミャンマーなど、さまざまな国の仏教徒がお参りに来ます。
結構長い期間、お釈迦さまはこの霊鷲山に滞在されていたのだろうと推測できますが、どんな風に暮らしていたのか気になりますね。食べ物のこととか、たくさんいるお弟子さんたちはどこで寝泊まりしていたのかとか…
実際に霊鷲山に登ったときはそんなことを考える余裕もなく、「ここで法華経が説かれたんだ…」と思って妙に緊張してしまったのを思い出します。
「耆闍崛山」という訳語もある
法華経を読んでいると、「霊鷲山」のほかに「耆闍崛山」という訳語も出てきます。というか、最初に出てくるのは「耆闍崛山」の方です。
「グリドラ・クータ」は「ハゲワシのような山頂」という意味ですから、「ハゲワシのような形の山頂をもつ聖なる山」という意味で「霊鷲山」と漢訳(意訳)されています。
これに対して、「耆闍崛山」は音訳です。「グリドラ・クータ」➝「耆闍崛山」というのは、ちょっとしっくりこない気もしますが、パーリ語では「ギッジャ・クータ」と言うので、こちらの音訳が伝わったのかもしれません。
こうやって、お経典の原語を調べたりすると、「和」な感じのお寺と結びついていた仏教のイメージが、もともとはインドという遠い国からきたものであると実感できて、なんだか新鮮な気持ちになります。
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今回の記事は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、また。
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