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未経験からプロ翻訳者になるための5つのルートを解説

YouTubeで、翻訳未経験の方が翻訳者(主に在宅フリーランスを想定)になるために選べる5つのキャリアについてお話ししています。

ここでは、動画を見るのが面倒な方のためにテキストでそのダイジェストをお伝えします。見出しの下にある動画を再生すると、該当部分から始まるようになっています。全体の目次はこんな感じです。

全体の目次

  1. 翻訳会社の翻訳トライアルを受けて合格するルート

  2. 派遣社員として企業内翻訳者になるルート

  3. 翻訳会社のオンサイトチェッカーとして働くルート

  4. 翻訳会社のプロジェクトマネージャーとして働くルート

  5. クラウドソーシングサイトで翻訳をするルート

  6. まとめ

1. 翻訳会社の翻訳トライアルを受けて合格するルート(3分10秒~)

王道ですね。正攻法であり正面突破です。
未経験者が応募できるトライアルは、多くはありませんが探せば見つかります。JTF(日本翻訳連盟)のサイトにある加盟翻訳会社リストで翻訳会社がたくさん見つかります。それぞれの企業ページに飛んでそこで未経験OKのトライアルがないかチェックしてください。アメリア翻訳者ディレクトリでも見つかります。

狙い目は、一般型トライアルです。一般型とは、翻訳会社が(ほぼ)常に受け付けているトライアルです。特定のクライアントを念頭に置いたものではなく、特許全般、医薬全般、IT全般、金融全般、といった感じで特定のジャンルの全般的な知識や翻訳力を問うトライアルになっています。

クライアント特化型のトライアルは常に募集されているわけではありませんし、即戦力が求められるために経験者でないと応募できないものが多いと思います。まれに、特定の実務経験があれば翻訳未経験でも応募できるというクライアント特化型もあります。

2. 派遣社員として企業内翻訳者になるルート(11分20秒~)

TOEICが少なくとも600点台、できれば700点以上ある方にお勧めできるルートです。就業先は、都市部 or 郊外の工場や研究施設となります。特定の専門知識が身につくという点ではかなりお勧めのコースです。

未経験OKのところも多く、トライアルは行わず面接のみというパターンが多いはずです。翻訳をしている同僚や先輩がいて仕事を教えてもらえますし、翻訳対象となる原文を執筆している人が同じフロアにいることも多いので、不明点を問い合わせることもできます。未経験でフルリモートは珍しいと思いますので、ある程度は通勤圏内に住んでいる必要があります。
業務のうち何パーセントくらいが翻訳なのか、通訳はあるのか、言語方向は?といったポイントを事前に押さえておくのがよいでしょう。「翻訳に関係のない業務をしなければならない」という場面もあると思います。そうした状況を好ましく思わない方もいるかもしれませんが、今後の翻訳キャリアを考える上では、何が役に立つか分かりません。翻訳以外の業務も前向きに取り組むことをお勧めしたいです。

私自身は携帯電話関係の派遣が翻訳デビューでした。2社で翻訳をしてからフリーランス翻訳者になりました。独立後は携帯電話に関する知識があったので、トライアルなしで数社から仕事のオファーをいただきました。英語以外の芸も身を助けてくれます。
その時期に働き過ぎて椎間板ヘルニアになって入院した話はこちら。フリーランス翻訳者のスケジュール管理について話している動画はこちらです。

3. 翻訳会社のオンサイトチェッカーとして働くルート(20分12秒~)

未経験OKのお仕事も見つかります。翻訳会社のオンサイト、ということなので出社してオフィスで働きます。

ゼロからの翻訳ではありませんが、翻訳の実務ですのでかなりスキルアップが期待できます。同僚・先輩に教えてもらえる点も◎です。リモートでもできる仕事内容だとは思いますが、未経験の場合は最初からフルリモートにはならないと思います。慣れてきたら一部リモート or フルリモートもあるかもしれません。翻訳会社の中で働きますので、業界の雰囲気やしくみがわかります。仕事の流れ、翻訳物がどのように使われているかも見えるのは将来的にかなりプラスになると思います。さまざまな訳文に触れることもできます。仕事先は都市部に限定されると思います。

4. 翻訳会社のプロジェクトマネージャーとして働くルート

未経験OKの募集も多く目にします。会社によっては、プロジェクトマネージャー、PM、コーディネーターなどと呼ばれます。翻訳会社の中で働くことができるので、業界の雰囲気がよくわかります。オンサイトチェッカーと比べても、外注先翻訳者やお客様との連絡が多くなると思いますので、翻訳業界を幅広く目にすることができるでしょう。ただし、純粋な翻訳の仕事ではないので、業務時間外にしっかりと時間を取って勉強をする必要があります。プロジェクトマネージャーさんは忙しいことが多く、時差対応や祝日対応もありますので、勉強時間がなかなか取れないということもあるかもしれません。

5. クラウドソーシングサイトで翻訳をする

今回のルートの中で最も始めやすい選択肢です。一般的なフリーランス翻訳者と同様に、場所に縛られないというのもメリットです。

クラウドソーシングと一口に言っても、あらゆる仕事を受発注できる総合型(クラウドワークスランサーズなど)と翻訳専門の特化型(スピード翻訳YAQSトランスマートGengoなど)があります。
総合型は登録時のトライアルがなく始めやすい反面、単価がかなり安めです。英日だと原文1ワードあたり手数料を引いた後で1円未満からあり、2円台でも「適正価格」、3~4円でも「優良価格」とみなされているようですが、この価格で最低賃金相当の働き方をするのは至難の業(詳しくは動画で)。総合型のサイトでは1つのジョブに対して複数のワーカーが「提案」をして選んでもらうというスタイルですが、競争率はかなり高め。英語ネイティブ限定の仕事はそこそこ多く、競争率も高くないので、英語ネイティブの方は受注しやすいかもしれません。
特化型でもトライアルが必須ではない激安のConyacというサイトもありますが、ほとんどの特化型サイトは登録時にトライアルが必要です。YAQSではトライアルの結果次第では英日9円(手数料なし)という単価で受注できます。特化型の多くは早い者勝ちでジョブを受注するしくみになっています。

どちらのタイプのサイトも全体としては仕事量が少なく、総合型では1つのジョブに複数のワーカーから提案が集中したり、特化型ではレスポンスの速いほかの翻訳者さんに仕事を取られてしまいますので、どちらにせよお勧めできません。

また、少なくとも総合型はプロ翻訳者からのフィードバックがないので、スキルアップは期待できません。トライアルなしで受注した案件だと、履歴書に実績として書けるかやや微妙なラインだと思います。書いて問題になるとは思いませんが、そのクラウドソーシングサイトの名前を添えておいた方が親切だと思います。トライアル必須のクラウドソーシングサイトでの実績があれば、その名前を書いておけばトライアル合格の実績として理解してもらえますので、信頼感は上がると思います。

まとめ

在宅フリーランス翻訳者を目指すなら、まずはトライアルが正攻法です。難易度が高くて歯が立たないという場合は、翻訳講座や独学で勉強しながら受け続けるというのも手ですが、派遣やオンサイトチェッカーとして働くという選択肢があります。こちらの方が、仕事をしながら翻訳スキルを伸ばせますし、翻訳業界についての見識を深めたり、特定の専門知識を身につけたりできます。業務時間外にも翻訳の勉強をして、1~3年くらいしてからトライアルを受けて在宅フリーランスになるという流れでもよいと思います。

それでは、アディオース!


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