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映画を楽しむためにやっている5つのこと

SNSなどで「〇〇という映画を観に行ったけどつまらなかった」みたいな感想をあげている人を見かけます。

その気持ち、わかります。忙しいスケジュールの合間を縫って、数千円、数時間というコストをかけて観に行ったのに何も得るものがなかったなんて、残念すぎますよね。

私はそういうハズレ映画を引かず、なるべくアタリに出合う確率を上げるために実践していることが5つあります。

1. 昔の映画を観る

今でも残っている古い映画というのは、何千、何万という作品の中から生き残った作品です。だから、ハズレが少ない。

それと、映画は常に過去の映画を下地として作られているので、古い映画を観ておくと現代の映画の理解度が深まります。これも、古い映画を観ることのメリットです。

私は先日、デイヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』を観ていたときに、まさにこの「古い映画を観ることのメリット」を感じました。というのも同作品には、ビリー・ワイルダー監督の『サンセット大通り』や、リンチ監督の別作品について知っていれば楽しめる要素がちりばめられていたから。

逆に言うと、それらについて知識がなければ完全に素通りしてしまい、最終的に「つまらなかった」という感想に行きついてしまう可能性がある作品だと思いました。

背景知識があるかないかで、映画の見方が大きく変わります。

2. 監督の経歴を調べる

映画を観る前に、監督の経歴を調べておくのもおすすめです。監督の生い立ちや過去の経験が映画のテーマと深く関係していたりすることもあるし、作品のなかで注目すべきポイントがわかったりすることもあり、より深く鑑賞できるようになります。

例えば上記のリンチ監督の経歴をWikipediaで調べてみると、こんな記述がありました。

友人の父がプロの画家だったため絵画やドローイングに興味を持ち、ワシントン美術大学、ボストン美術館付属美術学校に通う。

Wikipedia

前出の『マルホランド・ドライブ』では、1枚の西洋絵画が出てくる場面があります。リンチ監督が美術学校に通っていたという経歴を知っていると、あのシーンであの絵を映したのには何か理由があるはず、みたいな仮説が浮かんでくるんです。仮説なので事実であるかは気にしなくてよくて、作品をいろいろな方向から解釈するための材料が増えるということです。

Wikipediaは裏付けのない情報が載っていることもあるので、注意が必要ですけれどね。

3. 同じ監督の別作品を観る

自分が好きな映画の監督が誰かを調べて、その監督の別作品も観てみてください。別作品のほうを気に入る可能性も、割と高いと思います。私にとっては小津安二郎監督や、是枝裕和監督がこのパターンでした。

なんとなく、観る映画を決める時に主演俳優やジャンルを重視しがちなのですが、好きな監督で選ぶというのも、アタリ映画に出合う確率を上げるコツだと思います。

ただ、好きな監督といえども作品の出来にばらつきがある人もいるので、鉄板ルールというわけではないのですけれど。

4. 「目利き」のおすすめを観る

友人・知人や、お気に入りの映画評論家など、自分が信用している「目利き」に頼るというのも手です。

私が最近「映画の目利き」として絶大な信用を置いているのは、宮藤官九郎さんと俳優の伊勢志摩さん。このお二人が好きな映画について好き勝手に語り合う音声配信番組『大渋滞』を欠かさず聴いて、番組内で話題に上がった映画のなかで、気になった作品を観るようにしています。

玄人目線の分析がとても興味深く、お二人のやりとりが面白すぎて、毎回笑ってしまいます。「日本でシガニー・ウィーバーの位置を狙える俳優は〇〇さん」とか、そういうたとえ話も絶妙。ほんと、この二人のトークショーがあったら絶対に観に行きたい。

残念ながらAudible会員限定の番組なのですが、映画好きのかたは機会があったら是非聴いていただきたいです。

ご参考までに、2024年上半期ベスト作品回のリンクを載せておきます。30日間無料体験版で聴くのもありかと!

以前は海外の映画評論家のポッドキャストを聴いていた時期もあるのですが、辛口すぎて聴いているとなぜか自分が酷評されているような気分になって落ち込むので、聴くのをやめてしまいました。

5. 原作と実写版を両方楽しむ

原作と実写版がある作品は、まず原作を読んでみて、気に入ったら実写のほうも観ています。

「やっぱり原作のほうが面白かった」みたいなことを言う人がいるのですが、それは当たり前ですよね。自分の頭のなかで、登場人物や舞台設定が描き放題ですから。

原作と実写版は別ものとして、それぞれの良さを楽しむようにしています。

あんなシーンやこんなシーンをどうやって映像化するのかな、あの場面は原作と同じセリフにするのかな、どの場面を削ってどの場面を残すのかな、などなど、監督が原作をどのように「翻訳」して映像化するのかを知る楽しみが実写版にはあります。

私が最近観たなかでよかったと思った、原作が小説の実写版を2つ載せておきます。

朝井リョウ原作の『正欲』

平井啓一郎原作の『ある男』

おまけ:映画をもっと楽しむために、これからやりたいこと

洋画にはキリスト教の概念が分かっていないと楽しめない作品がたくさんあるので、キリスト教の勉強はしなければならないとずっと思っています。これ、洋画好きの日本人がぶち当たる壁であるような気もするんですけれど、そう思っているのは私だけでしょうか。

だったら聖書を読め、という話なのですが、食わず嫌いでなかなか手が出ずにいます。

これもずっと、積読になったまま。

ほぼ同じ理由で、邦画をより深く鑑賞するために、仏教をはじめとする東洋哲学や、神道の勉強もしたいと思っています。

あとは「能」。能も日本の演劇の原点に近い気がするので、知っておく必要があると勝手に思っています。

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