
あなたはイチロー派?大谷派?|達成志向から成長志向へ
・若い頃の苦労は買ってでもしておけ
・あの時の苦しい経験があったから今の自分がある
・大きく成長するには苦難を乗り越えないといけない
一般論としてよく聞く言葉ですよね?
私もずっと「その通りだ」と思っていましたし、苦しい時にもがきながらも前を向いて頑張ることが美学であり、その試練の先にこそ大きな実りがあるのだと信じて生きてきました。
ですが、この記事を書いてみて、新たな気づきを得ることができました。
1.イチロー選手と大谷選手のインタビュー
上述のよく聞く言葉を体現しているのが、イチロー選手(もう引退されていますが呼びやすいので)かと思います。
彼は苦しさや辛さと向き合いながら黙々と技術を磨き、結果を出してきました。「Mr. ストイック」という呼び名がピッタリ当てはまる人物だと思います。
WBCの予選ラウンドで12打席連続無安打&バント失敗という不振にあえいだイチロー選手は、この苦難を乗り越え、決勝の韓国戦で劇的な決勝打を放ち、勝利をもぎ取りました。
「苦しいところから始まって、苦しさからつらさになって、つらさを超えたら心の痛みになった。最後は笑顔になれた。最後の打席では神が降りてきましたね。」

一方で同じくメジャーリーガーの大谷選手はどうでしょうか?彼は大事な試合の敗戦後のインタビューであっても常に前向きです。
「楽しかったなと。負けた試合も含めて、素晴らしい緊張感の中でプレーできる喜びというか、この時期まで野球ができている喜びをまず感じている。健康な状態であしたも野球ができるところに、自分自身はすごく喜びを感じている。」

この2つのインタビューから二人の考え方の違いを読み取ることができます。
2.「達成志向」と「成長志向」の違い
皆さんは、イチロー選手と大谷選手の違いは何だと思いますか?
私の考えでは、苦難に対する心の持ちよう、が二人の間の違いなのではないかと思います。

イチロー選手は、
「ストイックに極限まで自分を追い込んで技術を磨き抜く」というスタイル。
大谷選手は、
「常に最高の状態を保ち、あらゆることから学びを得て、楽しみながら成長する」というスタイル。
「苦難が人を成長させる」というのは、紛れもない真実だと思います。なぜなら、苦しい時にこそ本質が問われますし、その経験から多くを学ぶことができるからです。そして二人とも多くの苦難を乗り越えて、素晴らしい実績を残してきました。
ですが、二人の苦難に対するアプローチの仕方、捉え方は180度異なります。
イチロー選手は、
・苦しんだ先にしか幸せはない
・何かを達成しないと真の充足感は得られない
・そのために全力を注いでやり抜く
という「達成の思想」に基づく考え方。
一方、大谷選手は、
・今この瞬間のプロセスを楽しむ
・成功からも失敗からも学び続ける
・日々のあらゆることから幸せを感じられる
という「成長の思想」に基づく考え方。
これは推測ですが、イチロー選手は選手時代ずっと上を目指し続けて苦しかったのではないかと思います。「悟りを開くために苦行に身を投じた仏陀」のような印象を受けます。
だからこそ、その苦難を乗り越えてきた彼のメッセージは若い世代にしっかりと伝わるのだとも思います。智弁和歌山高校が甲子園で優勝できたのは、イチロー選手の指導を受けた影響が少なからずあったはずです。
一方で、大谷選手の言動や振る舞いは、遥か先にあるゴールを目指すというよりは、「常に今この瞬間にフォーカスし、運気(プラスの波長)を引き寄せることを意識している」ように感じます。
3.No Pain, No Gainの罠
No Pain, No Gain(何かを得るには苦労しなければならない)という考え方は、私たちの脳に間違いなく刷り込まれています。(特に昭和世代は!笑)
誰もが認めてくれる特定の領域まで辿り着かないと、永遠に幸せになれないと思っている人は意外と多いのではないでしょうか?
このいわゆる「達成の喜び」を追い続ける考え方に縛られている限り、私たちは目標を達成する度に、さらなる「達成の喜び」を求めて、また新たな目標を掲げなくてはなりません。そして、その欲求を求め続ける限り、永遠に満たされることはありません。
私は営業職として、毎年リセットされる受注目標をひたすら追い続けてきましたが、何度目標を達成しても、次の瞬間には「さらに大きな数字を達成しなければならない」というプレッシャーや「来年は達成できないのでは?」という不安感がおそってきました。
「このままでは永遠に精神的な安定は得られない」という危機感を常に感じていました。
4.「達成」から「成長」の思想へ
最高峰のメジャーリーグで二刀流のトップパフォーマンスを誇る大谷選手は、別の星から来たスーパーマンのようにも見えますが、私たちが普段見落としている大切な何かを気づかせてくれる存在でもあると思います。
周りで支えてくれる全ての人達に感謝し、今この瞬間にフォーカスしながら日々成長し続けること。大谷選手のインタビューの中にその思想や人生観を感じ取ることができます。
Q.1年間振り返って、いちばん記憶に残った功績、出来事は?
A.いろいろ、もちろん記録とかいろいろありましたけど、まずは1年間しっかりと安定して出られたのがいちばん自分の中でよかったですし、それに伴ってケアをしてくれた人たちもそうですし、サポートしてくれた人たちにまず感謝したいと思います。
Q.高いレベルで健康にプレーできた要因は?
A.毎日同じルーティーンをしっかりとこなせたと思いますし、それに伴って周りの人のサポート、僕1人のルーティーンではもちろんできないので、毎日同じ時間に同じことをなるべくできるようなスケジュールというのをまず話し合いながらできたのがよかったのかなと思います。
Q.「打撃の質の先が見えた」というのは?
A.バッティングの質がやっぱりよくなったのかなとは思うので、それはトータルして見たときに、自分のいい結果を出しに行く過程がすごいよくなってきたんじゃないかなと思っています。
5.「成長の思想」の極意
これらのインタビューから、「成長の思想」の極意とも言えるいくつかのキーポイントが浮かび上がってきます。
「常に感謝の気持ちを持つ」
「毎日のルーティンの実行」
「結果よりもそこに向かうプロセスが大事」
大谷選手が世界最高峰のメジャーリーグで活躍し続ける理由は、この『成長の思想』に基づく人生哲学にあると言えます。
「営業」という観点に当てはめると、
「サポートしてくれる人たちに感謝しながら、一つ一つのプロセスにフォーカスしていれば、自然と結果は付いてくる」という考え方を持てるようになります。
日常生活、仕事、人間関係など、あらゆる場面で応用できるこの考え方は、今この瞬間に意識を集中し、小さな一歩を積み重ねることで、自分にとって本当に大切なものを見つける道標となります。
忙しい日々の中でも、一つ一つの行動に感謝の気持ちを込めることで、日常がより豊かなものになり、目の前にある幸せをしっかりと感じ取ることができるはずです。

この記事の「達成の思想」や「成長の思想」という考え方は、田坂広志さんの著書から引用しています。人生で一度は読んでおくべき素晴らしい本です!
ここまで読んで頂きましてありがとうございます。もしこの記事がいいなと思ったら、スキ・コメント・フォローなどいただけますと嬉しいです。今後も私自身の経験から学んだことや、気づきなど発信していきますので、応援よろしくお願いします!